ラクトフェリン、寿命延伸の可能性
免疫系が間違って自分の組織を異物と認識し攻撃して起こる自己免疫疾患の一つに、自己免疫性血管炎がある。
これにより免疫系の細胞が血管を傷つけたり破いたり血栓を作ったりする。
これがループスジン炎、敗血症、深部静脈血栓症などの原因になっているが、近年では災害時などに増えるエコノミー症候群の原因としても考えられている。
この自己免疫性血管炎のモデルマウスに、炎症を抑制し寿命を延伸する物質がないかを探索した。
そしてその過程で、生体内に存在して多機能性物質と呼ばれ、既に口腔内の衛生や腸内環境の改善などに働きかけるラクトフェリンに寿命延伸の可能性があることを見出したという。
ラクトフェリン、自己免疫疾患を制御
ラクトフェリンは母乳(特に初乳)、涙、汗、唾液などの私たちの分泌液に含まれ、特に初乳に多く含まれることで赤ちゃんの免疫系を強化していることがよく知られ、好中球細胞質にも含まれることがわかっている。
では、ラクトフェリンがどのように自己免疫疾患を制御するのか。そのメカニズムを解明するため、自己免疫疾患の主役である白血球の機能の一つとされるNETs 産生にどう関与しているかに注目したと平橋氏。
NETsとは白血球の一つである好中球が刺激を受けることで、中から花火のようにスパークして放出されるDNAなどを含む核成分で、2004年に見出された新しい現象のことである。
好中球は食細胞として、あるいは脱顆粒球として殺菌を殺すことが知られていたが、NETsは刺激に反応して細胞外へ核成分を網目状に放出されるというメカニズムである。
このメカニズムそのものに非常に強い殺菌作用があり、このメカニズムこそが感染防御に働いていることが確認されている。
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