制度に関する行政の動きと産業協議会の取り組み〜薬業健康食品研究会「平成29年度 第一回 機能性食品勉強会」

平成29年12月7日(木)、薬業健康食品研究会による「平成29年度 第一回 機能性食品勉強会」が開催された。この中から、小田嶋 文彦氏(一般社団法人 健康食品産業協議会 事務局長)の講演「制度に関する行政の動きと産業協議会の取り組み」を取りあげる。


機能性表示食品の届出で連携

健康食品産業協議会は健康食品の適切な使用による業界の発展を目的に2009年に発足。

業界主要7団体の連合会で、機能性表示食品制度の健全な取り組みと普及について様々な取り組みを行っている。

現在、消費者庁も、同会との連携を強化すべく、「機能性表示食品担当者意見交換会」を定期的に行ったり、同会からの質問専用窓口を設置したりしているという。

今後、機能性表示食品の届出で同会等の利用ができることについて、消費者庁のホームページで周知するといった連携の取り組みに力を入れているという。

機能性表示食品の販売までの時間を短縮

特に届出にあたり、資料や提出物の不備により、表示が認められるまでに出し戻しが何度も繰り返されることや、表示が認められるまでに年単位の時間がかかることなどが同会に企業から報告が上がっている。

また、事業者からの問い合わせが多い事柄をまとめたQ&Aを策定し、消費者庁のホームページで公開することなどの取り組みに期待の声が上がっている。

この取り組みにより、事業者が届出を行った後、消費者庁が不備指摘を行うまでの所要日数について、平成30年度末時点で、55日を上回らないことを目標としているという。

また、事業者による入力が必要な届出資料の入力項目箇所についても簡素化を目指し、現在の項目の20%削減を目標としていると小田嶋氏。

消費者庁と同会で、このような協力体制を整えることで、届出事業者の予見可能性の向上や届出資料の出し戻しの回数の縮減など、機能性表示食品販売までの時間を短縮したいという。

「広告自主審査」を行うことを促す

制度は順調に運用されているが、今年11月7日には「葛の花由来イソフラボンを機能性関与成分とする機能性表示食品の販売事業者16社に対する景品表示法に基づく措置命令」がニュースとなって世間を騒がせた。

これにより、せっかく始まった機能性表示食品制度の信用が揺いでしまったことは特に残念と小田嶋氏。

また、「葛の花由来イソフラボン」そのものは優れた機能性を持つ確かな成分であるにもかかわらず、消費者にこの成分そのものが意味のないものとの誤解を与えてしまった。

この成分を使用して商品を提供していた企業は40社もあり、16社以外の残りの24社も多大な風評被害を受けていることなど、被害について小田嶋氏は報告した。

そこで同会に参加する「日本健康・栄養食品協会」も今月18日に改めて表示・広告セミナーを開催、団体としても来年度から「広告自主審査」を行うよう促すという。

サプリメント利用率はまだまだ伸びる

この20年、日本の健康食品市場は前半10年で3倍も成長したが、後半10年は頭打ちで、今後も成長しないのではないかと懸念されてきた。

しかし、機能性表示食品制度によって業界全体が再び盛り上がることが期待されている。

実際、欧州やアメリカや中国、その他アジアといった日本以外の各国ではサプリメントの利用率はまだまだ伸びている。

取り組み次第では日本でも同様の成長が望める。またそのためには中国を中心にアジア諸国に展開できるような食品の開発を業界として力を入れていきたい、と小田嶋氏。

「エビデンス・安全性・品質」の担保は必須

2025年問題(日本人の5人に1人が75歳、3人に1人が65歳という、かつて経験したことのない超高齢化社会)が目前に迫っている。

同会としては、健康長寿社会の実現に向けて、食品成分のポテンシャルを最大限発揮させるべく環境整備を進めていく。

また、商品の提供だけでなく人々の健康リテラシーを向上させるような取り組みを行う、健康食品が高く信頼されることを目指しているという。

そのためには、各食品成分や製品そのものの「エビデンス・安全性・品質」の担保は必須で、一定の自由度を持つ表示や広告について常にブラッシュアップしていくことが大切、と小田嶋氏。

健康食品と関連サービスが、日本はもちろん、世界中で必要不可欠なアイテムとして愛用され、健康の維持向上と健康長寿社会実現の一躍を担えるようしっかりサポートしていきたい、とまとめた。


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