オクラのパウダーや種子エキス、健康やアンチエイジングコスメで多彩な用途〜第36回「健康博覧会」セミナー

2018年1月31日(水)〜2月2日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて第36回「健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、 (有)エールの講演「オクラの秘密教えます!鹿児島県指宿市による地方創生の取り組み」を取り上げる。


オクラのブランド化目指す

鹿児島県はオクラ生産量が日本一であり(日本全体の40%)、中でも指宿市は温暖な気候から、鹿児島県産のオクラの8割の生産量を誇る。

現在日本で流通しているオクラの1/3は指宿産であるが、そのことはほとんど知られてない。

指宿市は砂蒸し風呂を中心とした観光産業にも力を入れているが、オクラの生産にも力を入れており、オクラのブランド化、付加価値のあるオクラ産業の発展を目標に掲げているという。

その取り組みの1つがオクラの「IPM農法」である。

体と地球環境に優しいオクラづくりを

IPMとは「総合的害虫・雑草管理」のことで、農薬にできるだけ頼らない減農薬農法のこと。

例えば、てんとう虫などを利用して害虫防除を行う技術である。

害虫を食べる良い虫を使って害虫を駆除するだけでなく、太陽光、風、水、ネットなどをフル活用して適切な栽培管理をすることで、病気になりやすいオクラを病気から守り、農薬の使用を最小限に抑える。

オクラは害虫が付きやすく、病気にもなりやすいため、完全な無農薬は非常に難しいが、少しでも体と地球環境に優しいオクラづくりに力を入れているという。

しかし、オーガニックや有機栽培という言葉が十分に認知されている今、IPM農法だけではオクラの差別化やブランディングにつながらないという現状がある。

廃棄オクラを活用

そうしたことから、今後も減農薬による栽培は続けるが、オクラの持つ「健康素材・健康野菜」のイメージを強化するために取り組んだのが「オクラパウダー」であるという。

指宿市では産学官医及び市民の連携でオクラパウダーを開発。そもそもオクラは、形が悪かったり、色が悪かったりすると、売り物にならない。

市場に出回らない物は、ほとんどが焼却処分され、廃棄オクラの活用が課題になっていた。

そこで通常なら廃棄されてしまう曲がったオクラなどを粉末化して利用できないか、検討を重ね「オクラパウダー」が誕生したという。

このオクラパウダーが他の「ほうれん草」や「青汁」といった青いパウダーとどう違うのか、どのような付加価値があるのか調査を行った。

その結果、オクラパウダーはポリフェノールの含有量が非常に高く、抗酸化作用はトマト、ほうれん草、レモンよりも高いことが分かった。

オクラパウダー100g中に含まれる活性酸素除去能は69.7mg、ポリフェノールは2.200mg/100g、さらにマウスの試験では便通改善作用、ダイエット作用がみられた。

ヒト試験で食後血糖値に影響

これらの調査結果と安全性を踏まえ、指宿市民30名の協力のもとにヒト試験を行った。

その結果、低容量(1.5g相当)でも高容量(3g相当)でも、オクラパウダー摂取群のほうが、プラセボ群より食後血糖値の濃度、インスリン濃度が有意に低いことが分かった。

現在はこのオクラパウダーを個別包装したものが市販、味噌汁や納豆、冷奴、サラダ、スムージーなど日頃飲食している食品に添加する方法を推めている。

また、オクラパウダー入りの麺、ポタージュ、鹿児島のお土産として定番の「かるかん」でもオクラパウダー入りのものが人気という。

アンチエイジングコスメ成分として注目

このように、オクラパウダーは健康食品としても健康食品素材としても徐々に知名度を上げている。

また、これまで破棄されていたオクラの種子にも注目が集まっている。

完熟したオクラの種子は皮膚のコラーゲンやヒアルロン酸を作り出す線維芽細胞を活性化する成分「マイオイノシノール」の原料であり、アンチエイジング化粧品素材として今世界で注目されている。

マイオキシノールはオクラの種子に含まれる天然由来の成分をバイオ技術によって合成した成分で「塗るボトックス」の異名も持つ。

国内の化粧品メーカーでは多くがフランス産の原料を輸入しているが、オクラ種子エキス(マイオイノシノール)が配合された化粧品には、額や眉間、目尻などに刻まれたシワや乾燥を改善させる効果が期待でき、アンチエイジングコスメ成分として非常に注目されている。

指宿のオクラから抽出されたものであれば「国産」の付加価値をつけることができるため、化粧品原料として指宿産の「オクラ種子エキス」を利用してほしいという。

オクラパウダー、オクラ種子エキスも含め、指宿のオクラをフル活用することで、指宿をオクラの産地としてより多くの人に知ってもらい、オクラの健康美容効果を享受してもらいたい、と話した。


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