柑橘類の橘と同じような構造
沖縄リサーチセンターの代表を務める禹済泰(ウ・ゼテ)氏は、ノビレチン研究の第一人者でもある。
禹氏は、抗肥満作用やインスリン抵抗性、糖尿病改善作用のある天然由来の成分を探求していた。
その中で、シークーワーサーに目をつけたのは、日本で古来より親しまれてきた柑橘類の橘と、シークワーサーがほぼ同じような構造をしていたからという。
古事記や日本書紀では橘が「不老不死の薬」として紹介されている。また文化勲章のデザインも橘であり、これは「永久性・永続性」を表現していると考えられている。
現在、橘はほとんど生産されていないが、2000年以上も前から健康効果や薬理作用が伝承的に伝えられてきた橘と柑橘類のシークワーサーがよく似ていることから、橘に何か優れた機能があるのではないか、と着目したという。
ノビレチン、多くの生理機能
シークーワーサーは沖縄の特産物としても知られる。酸味が強いため95%が加工されるが、絞りかすが年間2千トン近く出るため、これを活用するためのさまざまな研究が行われている。
シークワーサーにはビタミンやクエン酸などが含まれるが、果皮の部分には特に豊富なノビレチンが含まれている。
ノビレチンの含有量は、グレープフルーツや温州みかんに比べてもずば抜けて多く、ノビレチン含有量が一番多い果実はシークワーサーだと考えられている。
ノビレチンにはすでに生理機能が複数あることがわかっている。
よく知られているのが「血糖値低下」「脂質代謝改善」「肝機能障害改善」「神経障害改善」「記憶障害改善」などで、これらはすべてヒト試験による論文が400本以上発表されている。
他にも、マウス試験で体内時計の改善、メラニン抑制、かゆみの抑制、紫外線遮断、炎症抑制など、皮膚への有用性も多く報告されている。
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