シークワーサー由来ノビレチン、排尿トラブルを改善〜第36回「健康博覧会」セミナー

2018年1月31日(水)〜2月2日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて第36回「健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、 渇ォ縄リサーチセンターの講演「シークワーサー由来ノビレチン高純度粉末の排尿障害改善効果」を取り上げる。


柑橘類の橘と同じような構造

沖縄リサーチセンターの代表を務める禹済泰(ウ・ゼテ)氏は、ノビレチン研究の第一人者でもある。

禹氏は、抗肥満作用やインスリン抵抗性、糖尿病改善作用のある天然由来の成分を探求していた。

その中で、シークーワーサーに目をつけたのは、日本で古来より親しまれてきた柑橘類の橘と、シークワーサーがほぼ同じような構造をしていたからという。

古事記や日本書紀では橘が「不老不死の薬」として紹介されている。また文化勲章のデザインも橘であり、これは「永久性・永続性」を表現していると考えられている。

現在、橘はほとんど生産されていないが、2000年以上も前から健康効果や薬理作用が伝承的に伝えられてきた橘と柑橘類のシークワーサーがよく似ていることから、橘に何か優れた機能があるのではないか、と着目したという。

ノビレチン、多くの生理機能

シークーワーサーは沖縄の特産物としても知られる。酸味が強いため95%が加工されるが、絞りかすが年間2千トン近く出るため、これを活用するためのさまざまな研究が行われている。

シークワーサーにはビタミンやクエン酸などが含まれるが、果皮の部分には特に豊富なノビレチンが含まれている。

ノビレチンの含有量は、グレープフルーツや温州みかんに比べてもずば抜けて多く、ノビレチン含有量が一番多い果実はシークワーサーだと考えられている。

ノビレチンにはすでに生理機能が複数あることがわかっている。

よく知られているのが「血糖値低下」「脂質代謝改善」「肝機能障害改善」「神経障害改善」「記憶障害改善」などで、これらはすべてヒト試験による論文が400本以上発表されている。

他にも、マウス試験で体内時計の改善、メラニン抑制、かゆみの抑制、紫外線遮断、炎症抑制など、皮膚への有用性も多く報告されている。

排尿トラブルが改善

今回、新たな機能性として琉球大学と共同で排尿障害改善についての研究を行った。

シークーワーサーの絞りかすから作られる高純度のノビレチンパウダーを、排尿障害があるが医療機関で治療はしていない50人の男女に6週間摂取してもらった(ノビレックス300mg=ノビレチン高純度粉末)。

その結果、症状が改善したと回答した人が6割を超え、実際に夜間排尿回数、尿意切迫感、残尿感、日中排尿回数、過活動膀胱症状スコアなどにおいて有意に改善したことが分かった。

そのメカニズムとして、ノビレチンが膀胱の自律神経を整え、筋肉を柔らかくするため、膀胱で尿を溜める容量が拡大されたのではないか、と考えられた。

さらに、排尿トラブルの原因として考えられる脳梗塞、閉経、前立腺肥大、間質性膀胱炎、すべてのタイプの排尿トラブルにノビレチン投与で改善が見られたという。

体内時計の調整でも有用

現在、日本では40代の4人に1人が排尿トラブルを自覚、約2500万人が悩みを抱え、それにより生活の質(QOL)を大きく下げているといわれている。

排尿トラブルを解消する素材として、女性向けにはクランベリー、男性向けにはノコギリヤシなどがサプリメントで知られているが、ノビレチンサプリメントは男性にも女性にも対応できる。

また、ノビレチンの機能として体内時計に関するものも認められつつある。

加齢とともに体内時計が前倒しになり、睡眠が短くなったり、尿の回数が増えたりすることがいわれている。

ノビレチンの摂取で体内時計を維持したり、早まった体内時計を元に戻すような作用がある可能性が高く、ノビレチンの新しい機能にも注目が集まっているという。


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