機能性表示ガイドライン改定、ヘルスクレームに軟化の兆し〜第36回「健康博覧会」セミナー

2018年1月31日(水)〜2月2日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて第36回「健康博覧会」が開催された。同展示会セミナーより、薬事法ドットコムの講演「機能性表示ガイドライン改定を見据えた対応はこれだ」を取り上げる。


2018年4、ガイドラインが改定

薬事コンサルを専門に行ってきた株式会社薬事法ドットコム。ここ2年は「機能性表示関連」の受託案件が増えているという。

2018年1月の時点で、薬事法ドットコムが行った機能性表示届け出案件は現在受理待ちも含め109件になるという。

2018年4月にガイドラインが改定されることがすでに報道されているが、これによってどんな点が変わるのであろうか。

すでにこの改定を見据えた動きははじまっているという。そこで2017年秋以降から、新たに表示可能となったヘルスクレームが増えていることに注目して欲しいとい話す。

例えば、最近表示が認められたものは4つ、いずれも従来の制度の考え方では到底許可されないようなものばかりである。

この動きを見ただけでも消費者庁の認可の軟化や制度をより良いものにブラッシュアップしようという姿勢の変化、肯定的な流れになっているといえそうだ、と解説。

認可されたヘルスクレーム

認められた4つの新しいヘルスクレームは以下の通り。

1、脚のむくみ

「むくみ」についてはこれまで「病者」扱いされていたため、機能性表示が解禁になっても表示は難しいと考えられ、多くのメーカーが諦めていた。

しかし今回、株式会社リフレの「脚キュッと!」(赤ぶどう葉由来ポリフェノールが機能性関与成分)が病気ではない健康な人の「夕方のむくみ」といった一過性のむくみに対する製品としてヒト試験を行い許可された。

2、歯の健康

歯の健康は基本的に歯医者に行って保険適用になるものは全てNGであるため、なかなか認められないヘルスクレームと考えられていた。

しかし、4月の改定では希少糖のキシリトールについて表示可能になりそうな動きがある。

今回は「口腔内フローラを良好にするロイテリ菌は歯茎を丈夫で健康に保つ」という新たなヘルスクレームが認められた。

3、注意機能

イチョウ葉エキスによる「記憶の精度を高める」という表示が急激に増える中、「注意機能(重要な物事に素早く気づく、複数の物事に注意を払える)の維持」という表記は差別化に役立つ。

イチョウ葉エキスで申請を行う場合、「記憶の精度」と表示をワンパターンにしてしまうと競合に埋もれてしまうので、DHAやEPAとの組み合わせて「眼」に絡ませたり、例えば、「道順の記憶」など表示に工夫したりする必要がある。

また、認知関連については「プラズマローゲン」も登場しており、差別化を図ることができる。

4、基礎代謝

「基礎代謝」も難しいヘルスクレームと考えられてきたが、SR(システマティックレビュー)で表示が認められた。

基礎代謝に関わるダイエット系では「葛の花由来イソフラボン」に今後ネガティブイメージがつきそうだが、葛の花以外では、「リンゴ由来プロシアニジンB 2」が内蔵脂肪、ウエストサイズの訴求で成功している。

こうした事例からも分かる通り、これまで「難しい」と考えられてきた表示でも諦めずに申請を繰り返すことで、風穴をあけることは十分可能である。

そうすることが制度や業界のブラッシュアップにもつながるため、諦めずにトライする必要がある。

ヘルスクレームに軟化の兆し

4月の改定で現在注目されているのが「エキスを関与成分として認めるかどうか」ということである。

現在のガイドラインでは「関与成分はあくまで定量可能なもの」とされている。

これまではここを曖昧な状態で申請すると「他にも効いている成分があるかもしれないから、それを明らかにせよ」と消費者庁に差し戻されてしまっていた。

しかし、その中身を全て明らかにしなくても、定量可能な成分のみでも認められれば企業にとっては一歩前進となる。

この辺りは4月になってみないとわからないが、今後の期待と注目が集まるところである。

いずれにせよ、制度も徐々にブラッシュアップされ、ヘルスクレームについては多少でも軟化の兆しがある。

機能性表示を取得すれば、売り上げが伸びる可能性が非常に高く、この制度を活用しない理由はない。

4月以降も継続して商品開発と表示取得に取り組んで欲しいとまとめた。


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