腸活アプリのユーザー、95%が女性〜腸内フローラ研究会「第2回腸内フローラと食品開発」

2018年4月27日(金)、腸内フローラ研究会による「第2回 腸内フローラと食品開発、マーケティング戦略について」が開催された。この中から、田口敬氏(ウンログ椛纒\取締役)の講演「ウンログの腸活マーケティング支援」を取り上げる。


排便記録のアプリ、50万ダウンロードを突破

田口氏は、お腹を壊しやすく、日々の排便の記録をスマホのメモ帳に記録していた。そうしたことから、排便記録アプリ「ウンログ」が誕生し、今では50万ダウンロードを突破する超人気アプリに成長しているという。

アプリの開発当初は、男性のユーザーを想定していたが、リリースすると95%が女性ユーザーであった。そのため、現在はダイエットや生理周期も記録できる女性向けアプリに改善されている。

現在ユーザーが増えており、企業とのコラボやタイアップなど、できることが増えてきているという。

実際に腸に良い商品かサンプリングしたい、モニターを集めたいという企業に対しても、キャンペーンをスムーズに行えるようサポートしている。

また、便のデータをたくさん持っているため、最近はその解析も行っており、例えば「*****する人は*****が多い(卵をよく食べる人はプロバイオティクスが増える)など」といったデータ解析を企業から頼まれることが増えているという。

2000サンプル以上の検体

同社では、2年前から始めた腸内フローラの検査で、すでに2000サンプル以上の検体があり、便の情報だけでなく、運動・睡眠・服薬情報などもより細かく分析することができるという。

腸に関する商品を作りたい企業に対し「エビデンス作り」から「認知・拡散」まで幅広く支援することが可能で、健康ブーム、腸活ブーム、腸内フローラといった話題との相乗効果も期待できるという。

実際の例としては、「プロバイオティクス飲料の腸内フローラの前後比較キャンペーン」「食物繊維サプリメントの腸内フローラ前後比較キャンペーン」「食物繊維ドリンクのサンプリング」「シリアルの腸活インフルエンサーマーケティング」など。

胆道閉鎖症を発見するアプリも開発

また、同社が聖路加国際大学と共同開発している、乳児の胆道閉鎖症を早期に発見するiPhoneアプリ「Babyうんち」についても紹介。

これまで胆道閉鎖症の発見は、乳児の家族が乳児の便の色を見ることでしか発見できなかった。現在でも母子手帳にはカラーチャートが挿入されていて、赤ちゃんの便の色を確認する指標が一般的に利用されている。

しかし胆道閉鎖症を持っている赤ちゃんの便と、健康な赤ちゃんの便の色の違いは、目で見て正確に判断できるものではなく、発見が遅れて命を落とすケースもある。

胆道閉鎖症はできるだけ早期発見に手術をしなければ助からない病気であり、発症率も低くない(発症の理由についてもわかっていないという)乳幼児には身近な病気であるという。

高知県の病院で大規模実証試験をスタート

今、医療全体でITやAIの取り込みが急速に進められているが、やはり「人の目で判断しにくい」ものは人工知能の力を借りるべきであり、このアプリの開発に至ったという。

とはいえ、2016年にリリースしたにもかかわらず、それほど普及しなかった。そのため、今夏(2019年)は、高知県の7つの病院で大規模実証試験をスタートするという。

このアプリの活用で、胆道閉鎖症以外にも複数の疾病が見つかる。乳児医療のスタンダードになるよう、活用できれば望ましいとまとめた。


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