若年層の健康意識の高まり
今、機能性成分素材の市場が右肩上がりで成長している。
前例のない高齢化社会を背景に、多くの高齢者は健康寿命を延ばしたいと考え、中高年層もストレスや食生活の乱れなどから生活習慣病への意識が高まり、機能性表示食品やトクホ食品が堅調に売り上げを伸ばしている。
また、これまで健康意識が低いと思われていた若年層にも、「スマホによる目の疲れ」「脳疲労」「睡眠トラブル」「精神疾患」などが増えており、以前より健康意識が高まっている。
特に若い女性たちの美意識は高く、さまざまな健康食材やダイエット食材情報などがSNS等で瞬く間に広がっている。老若男女問わずに健康意識が高まっているため、関連企業はこれらの消費者ニーズに応えられれば大きなチャンスを得ることになる。
植物由来の成分、種類が豊富
この健康食品を支える鍵となる「機能性関与成分」は大きく「動物系」「植物系」「合成系」に分類できる。この3つの中では植物系の市場は規模としては一番小さい。
しかし植物由来の成分は種類が非常に豊富で、市場も「ナチュラル」「オーガニック」「自然」「優しい」といったキーワードを求めているため注目度は高い。
植物系の機能性成分としては、例えば「生活習慣病対策」としてカテキン、リコピン、ポリフェノール、イソフラボンなどがあげられる。
「アイケア対策」ではアントシアニンやルテイン。「ロコモ対策」ではケルセチンやβクリプトキサンチンなどが知られる。
「酵素抽出法」が注目
これらの機能性に関するエビデンス研究も大切だが、その研究を発展させるためにも、また機能性成分の効果を十分に発揮させるためにも、原料から機能性成分やそのエキスをどのように抽出するかが非常に重要となる。
一般的に、植物性の機能性成分は原料植物が前処理された後、何らかの方法でエキスが抽出され、それをろ過・殺菌・濃縮、というプロセスを経て製品化(液体や粉末など)される。
この工程の中でもエキスを抽出する工程は、製品の品質だけでなく、最終製品のコストに大きく影響する最も重要な部分である。
現在、主にこの「抽出」に使われる溶液は「水」「エタノール」「メタノール」「ヘキサン」の4種類だが、それぞれにメリット・デメリットがあり、通常は「水」での抽出が多い。
水による抽出は安全性が高いというメリットがあるが、抽出効率が悪いというデメリットもある。
「メタノール」や「ヘキサン」を使用すれば、抽出効率が上がるが、食品用途には適していない。
そこで「水」に変わる「酵素抽出法」に注目が集まっている。水と同様に安全性が高く、一方、水抽出の弱点である抽出効率を高められるからだ、という。
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