複合的に血栓にアプローチ
米国の大学で研究中に納豆のネバネバからナットウキナーゼという酵素を発見した倉敷芸科学大学教授の須見洋行氏。1980年にナットウキナーゼが発見されてから約38年となるが市場でのニーズは未だ高く、昨年のナットウキナーゼ市場は360億円超に達しているという。
ナットウキナーゼに関する研究は現在もさまざまな研究機関によって進められているが、最新の知見としてアルツハイマー型認知症への効果に対する期待が高まっているという。
ナットウキナーゼは酵素であり、血栓の素となるたんぱく質フィブリンを分解する働きを持つ。特に血栓の主成分であるフィブリンに直接働きかけて分解する作用や、血栓溶解酵素のウロキナーゼの前駆体を活性する。
また血栓溶解酵素を作り出す組織t-PAを増やす作用などもあるため、複合的に血栓にアプローチする。
ナットウキナーゼ、アミロイドβを分解
認知症の中でも3割を占める「脳血管性認知症」は、脳梗塞や脳出血が原因となり、血栓が脳の血管に詰まることがきっかけで起きる。
しかし、ナットウキナーゼを日頃から摂ることで脳血管性認知症の予防になる可能性が十分ある、と須見氏。
また認知症の大半を占めるアルツハイマー型についても、ナットウキナーゼが有望である可能性が示唆されている。
アルツハイマー型は脳の神経細胞に沈着する老人性色素斑=アミロイドβが直接の原因物質と考えられており、ナットウキナーゼがアミロイドβを分解する働きが各国の研究で報告されている。
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