人が少ない企業ほど、届出に関する作業を外注する傾向にあるが、この場合、届出が受理されても、制度そのものの理解が足りないため、のちにパッケージや広告PRなどさまざまな場面でトラブルが起こりやすい。
企業のレベルアップにつながる
一方、届出に「不慣れ」というのは誰もが同じで、まずは「会社として一丸となって届出受理を目指そう」とまとまって動くことで、勉強会や表示制度、法律関連などあらゆることについて学ぶ機会ができる。
その上で商品が受理されると、その後商品も企業も社員もさらに成長することにつながる、と柿野氏。
すでに受理された企業の届出を参考に提出して差し戻されることもよくある。これは制度そのものが完成系のものではなく、消費者庁も常に制度そのもののレベルアップを図っているため、過去にOKしたから、という理由では通さないという背景もあるという。
また、原料メーカーからの資料をそのまま流用する、原料メーカーに作業を丸投げした場合も失敗しやすい。
時間がかかっても組織と社員、商品のレベルアップのために、一丸となって取り組むことに意味があり、それが遠回りなようで近道で、その結果としても得られるものが大きく、制度を真の意味で活用できることになる、と柿野氏。
地方自治体でバックアップ
ちなみに、届出責任者が一人になりその人ばかりに負荷がかかることで、体調を崩したり精神的に追い込まれた事例も報告されているので、やはり届出に向けた体制作りが非常に大切だ、と柿野氏。
中小企業にとっては容易ではない届出制度ではあるが、地方自治体によっては支援制度のバックアップを行っているケースもあるという。
例えば福岡県、静岡県、三重県、長野県、神奈川県などはバックアップ体制が充実している。
福岡県では、専門家による相談窓口や九州大学との成分調査などを用意しており、福岡県内企業による機能性表示食品の商品化を県としても目指している。
当然、支援が手厚い自治体からは複数の機能性表示食品が登場しているため、今後は自治体も制度を理解し、中小企業をバックアップすることで、現状伸び悩んでいる生鮮食品での受理が増え、産官学の連携品などの登場や、海外展開できる商品が増えることなどが期待できる、とした。
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