実験では坂本醸造樺供の黒酢濃縮液(酢酸を除去して純粋に溶解した10倍濃縮液)を試料として用い、マウスの白色脂肪前駆細胞に黒酢濃縮液を濃度0〜0.1%となるように添加し、培地交換を行いながら10日間培養した。
その結果、PGC-1αとUCP1といったたんぱく質の発現量は、黒酢の添加によって有意に増加したことが確認された。
黒酢特有の成分に抗肥満作用
さらに黒酢の添加によって分化した細胞において、脂肪細胞の小型化やミトコンドリア量の増加も確認され、これらの結果から「壺作り米黒酢に含まれる成分がPGC-1αの活性化を介して、脂肪細胞における熱産生の促進を促す可能性がある」とした。
この試験報告について、会場から「黒酢ではなく酢酸(いわゆるお酢)にも抗肥満作用が報告されているが、今回の試験は黒酢特有の現象か」という質問の声があがった。
これに対し、「酢酸の抗肥満作用は一般的に交感神経を刺激することによると考えられているが、今回は酢酸を除去した黒酢濃縮液による試験であり、酢酸を抜いてもPGC-1αとUCP1の増加が見られたことから、黒酢に含まれる特有の成分によるものと考えられる」と答えた。
また現在は試験管による動物試験のみであり、ヒトの臨床試験を行った場合についても今後考察する必要がある、とした。
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