バイオブラン、100歳長寿社会を支える主役に〜バイオブラン研究会2018年国際大会

2018年7月1日(日)、京都東急ホテル(京都府京都市)で「バイオブラン研究会2018年国際大会」が開催された。今大会に300名以上が参加、海外からも180名ほどの医師や薬剤師、研究者らが参集し、バイオブランの最新の研究報告が行われた。


世界50カ国で使用、免疫調整や抗酸化作用が証明

バイオブランは大和薬品鰍フ米ぬかを原料とする天然由来の栄養補助食品で、1996年に発売。日本をはじめとして、米国、欧州、南米、アジア諸国など世界50か国で使用されている。

開発当初より安全性や有効性の確認試験を重視し、これまでに60以上の論文、120回以上の学会発表を行っている。

基調講演では、遠藤雄三氏(浜松医科大学第一病理非常勤講師)が、「これからの医療と健康において果たしうる役割」と題して講演。

「現代医学は、生活習慣病である慢性疾患には効果が低い。食べものやサプリメントは健康保持に極めて重要な役割を果たす」とし、バイオブランの働きについて解説。

バイオブランは、「経口摂取された後、微小環境に到達し、組織内で様々な細胞とサイトカインやホルモンの作用と密接にかかわる。微小環境における細胞死を伴う慢性局所炎症を軽減するなど、免疫調整、抗炎症や抗酸化などの作用が証明されている」とした。

25年におよぶバイオブランの基礎研究

UCLA/Drew医科大学のMamdooh Ghoneum氏は、「基礎研究から臨床応用:癌の免疫療法における米ぬかアラビノキシラン(バイオブラン)の活用の拡大」と題して講演。

2030年までに、世界中の癌罹患率は新患数2、170万人、死亡者数は1、300万人に達するものと予測されている。癌の主な治療方法は、化学療法や放射線だが、これらの治療法は毒性が強いうえに、癌を完治することができない。

「バイオブランは、臨床試験や複数の臨床報告で、癌の再発予防や患者の生存率改善、生活の質の向上に役立つことが明らかにされている」とし、25年におよぶバイオブランの基礎研究から、免疫系活性化作用に着目した癌の治療方法を解説。

バイオブランはナチュラルキラー(NK)細胞やCD8+T細胞などの抗癌活性を有する免疫細胞の細胞傷害性反応を高める。そのため、感染症や癌に対する樹状細胞ワクチン戦略で使用できる可能性がある、とGhoneum氏。

また、バイオブランは安全で非毒性物質であることが証明されており、応答低下が見られない。時間が経過しても高いNK活性化レベルを維持する。癌患者に対する既存の免疫療法を補完する可能性のある、有望な免疫調節補助剤といえる、とした。



腫瘍性疾患に、NK細胞が活性化

Ropert Handgretinger氏(ドイツTObingen大学 Childrenlsuniversity Hospital)は、「小児癌に対するNK細胞を媒介とした抗腫瘍治療におけるバイオブランの効果」と題して講演。

「バイオブランは、乳癌や肝細胞癌をはじめとする様々な腫瘍性疾患に対し、NK細胞の活性が高まることが明らかになっている」とし、In vitro研究において、以下のような報告を行った。

インターロイキン2の低用量投与(IL-2、401U/ml)とバイオブランの組み合わせで、NK細胞の細胞傷害活性に相乗効果があり、IL-2の高用量投与(10001U/ml)と同等の効果があることが明らかになった。

IL-2とバイオブランの組合せは、小児患者のNK細胞の活性を高め、増殖を促すことが示唆された。健常者にバイオブラン(3×1包/日)を経口投与したところ、NK活性への効果は確認されたが、NK細胞数には変化は見られなかった。

一方、小児の患者では、NK活性の上昇が6名で見られ、4名は変化が見られなかった。

特に活動性疾患の患者はNK活性が低く、バイオブランを投与しても活性は上がらなかった。

これまでの症例では3名の患者にバイオブラン(3×2包/日)の経口投与とIL-2(1×1061U/m2 3回/週)の皮下投与を併用した。この組合せは高い忍容性を示し、かつNK活性上昇を誘導した。

帯津良一氏(帯津三敬病院名誉院長)は、「ホリスティック医学におけるバイオブランの役割(バイオブランの臨床例)」と題して講演。

「ホリスティック医学は、からだ、こころ、いのちが一体となった人間まるごとをとらえる医学である。バイオブランは免疫療法の一角を占め、最後の仕上げの役割を果たす」とし、バイオブランを含めた、ホリスティック医学の臨床例を示した。

薬剤との相互作用は見られない

voluntary Associate Professor氏(米国Miami大学)は、「健常者および慢性疾患患者に対するバイオブランの免疫調節および抗老化作用」と題して講演。

マイアミ大学ミラー医学部では、過去10年間にわたる様々な集団におけるバイオブランの免疫調節作用を評価しているが、今回、1)健常成人、2)HIVに感染している成人、3)非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を有する成人を対象に、バイオブランによる臨床試験を行った。

その結果、バイオブランが短期間(6ヵ月)で強力な免疫調節物質としての機能を発揮し、患者のレポート、肝酵素、腎機能検査のいずれにおいても薬剤との相互作用や副作用が見られないことが明らかになった。

こうしたことから、炎症関連疾患を予防したい健常者、および老化が加速しがちな慢性疾患を有する人にとって、バイオブランの免疫調節および抗老化作用は有望であることが示唆された、とした。

転移性大腸腫瘍が消退

野口勇人氏(田町アイシークリニック院長)は、「バイオブラン含有サプリメントと同種白血球輪注療法の併用により転移性大腸腫瘍が消退し人工肛門造設術を回避できた卵巣癌の症例」と題して講演。

左卵巣癌が原発の転移性大腸腫瘍に罹患した40代の女性が、担当医から「人工肛門になる」といわれていたが、バイオブラン含有サプリメントと同院で施行した同種白血球輸注療法との併用により転移性大腸腫瘍が消退したと報告。

担当医のもとで試験開腹したところ、左卵巣癌は上腹部および直腸まで転移している可能性が示唆された。

問診上、マグネシウム製剤とセンノシド服用が欠かせないほどの便秘、ならびに腹部を中心とした冷え性、体温の低下、動物とハウスダストに対するアレルギー体質であることが発覚。

また、免疫検査上はナチュラルキラー細胞活性の著しい低下とリンパ球の割合の低下が明らかとなった。

同院で、食事の見直しを中心とした生活指導、同種から分離した白血球輸注を約2週毎に施行、1包あたり0.29のバイオブランを含有したサプリメントの1日1包摂取を推奨した。

抗癌剤を開始してから便秘が悪化。腹痛および腹部膨満、食思不振を伴うようになったため、バイオブラン含有サプリメントを1日1包から2包に増量した。

その結果、2週間後には便秘が解消され、腹部膨満も改善。腹痛も軽減した。さらにその2週間後、センノシドを服用せずとも毎日1回、排便がみられるようになり、その1か月後には食欲が回復した。

以上のサポート開始から4か月後、術前の大腸内視鏡での生検上、悪性所見なし。手術したのは子宮と卵巣のみで、担当医は転移性大腸腫瘍の消退を認め、人工肛門は造設されなかった、とした。

有害な副作用がなく安全

Fred Pescatore氏(米国Medical Director,Medicine 369)は、「臨床におけるバイオブランの効果」と題して講演。

「バイオブランはナチュラルキラー(NK)細胞を活性化することが臨床試験で明らかにされている。免疫系に作用し、日常的に我々の健康を守る際に、疾病・疾患に対する防護の第一線である身体の必要不可欠な部分に働きかけている」とした。

また、バイオブランはインターフエロンやインターロイキンのようなサイトカインの体内における自然産生を助ける。TおよびB細胞リンパ球とナチュラルキラー細胞も活性化する。

バイオブランは、有害な副作用がなく安全であることが、基礎試験と臨床試験の両方で明らかにされている、とした。



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