そうでない場合もあるが、いずれにせよ健康への意識や関心が薄い予備軍に対し、ウエアラブルなどによって生活習慣指導や場合によっては介入を行う仕組みを整備すれば医療費は一気に削減できる。
感染症であれば、原因が特定でき、症状を根治できるので医療費をかける意味がある。生活習慣病の原因は「食べ過ぎ、運動不足、ストレス」であり、これに効果的な医薬品は存在しない。
しかし、重度の糖尿病患者であっても食事と運動の介入によるコントロールを数ヶ月行うだけで、症状は随分と改善することがわかっている。
フランス、認知症の医薬品の保険適用をやめる
本当に必要な医療費をどこにどう使うかを見極めることも大切である。例えば、フランスでは認知症の医薬品には効果がほとんど期待できないため、保険適用をついにやめる決断を下した。
これは大きなニュースになっているが、非常に現実的である。同様に、老化も遅らせることはできるが止めることはできない。
どんな症状が予防できるもので、どんなん症状が予防できないものなのか、予防できないものには医療費をかけても良いが、予防できるものはやはりクオリティデータを構築し、指導と介入で積極的に予防すべきだ、と江崎氏。
時代に合わなくなった制度を改善
時代に合わなくなった制度を改善する、古い価値観を変えていくことがイノベーションである。例えば、高齢者=65歳以上というのも少しずつ変わってきており、高齢者=75歳と考えられるようになってきている。
実際に、75歳、あるいは85歳まで多くの人が現役であると想定してみると、高齢化で起こる問題の多くは解決する。
日本の高齢化のスピードは世界でも注目されている。しかし、今一人一人がイノベーションを起こし、「生涯現役」を実現できれば「日本は良い国だ」と世界に賞賛され、お手本となる国になるであろうと江崎氏。
まずは「生活指導」にも手厚いサービスや制度を与えるだけでも変わる。新たな産業を生み出すことにもつながる。超高齢化にあるべき社会経済システムと価値観を再構築できれば、日本の未来は決して暗くはないとまとめた。
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