そのため、そのことをアピールしないのが小売の暗黙のルールになっているという。
こうした理由から、野菜はその個性や付加価値を消費者に伝えることがほとんどできていない。もちろん、商品の個性や付加価値は自社HPやTVCMなどで広告をすることはできるが、小さい生産者の多い生鮮食品の世界では現実問題難しい。
そうした中、サラダコスモの「大豆イソフラボンもやし」は機能性表示食品という付加価値を得たことで、小売側からも「自信を持って個性をアピールできる」、「野菜なのにセールスポイントがある」と喜ばれており、売り上げも2倍以上に伸びている。
しかし、一般消費者の認知度は思うように上がっていない。おそらく、野菜に機能や付加価値を求めたり、健康食品を選ぶような視線が、まだ消費者に育っていないためであろう、と中田氏。
野菜の機能性表示で差別化を
私たちは野菜から「食物繊維」「ビタミン」「ミネラル」「フィトケミカル」「ミネラル水」「酵素」「乳酸菌」など豊富な栄養素を得ることができる。
野菜には「免疫力向上・抗酸化・老廃物の排出・腸内環境改善」といったセールスポイントが多くある。しかもサプリメントのように単体の栄養素ではなく、さまざまな栄養素を摂れるといったメリットも大きい。
生鮮野菜の生産者のほとんどが「機能性表示や栄養表示は難しい」というが、チャレンジしている件数が少ないからこそ注目される。
「効果効能」まで意識しなくても野菜に含まれる「成分」を伝えるだけで十分に差別化になりチャンスになると、中田氏。
特にカット野菜や調理済み野菜は売り上げを伸ばしているが、これらは表示が必要で、それで差別化できれば、さらに売り上げが伸びる可能性がある。
野菜にこそ表示できる成分が豊富に含まれている。そのため、制度をフル活用することで、生産者にとっても消費者にとっても野菜の価値をもっと高められる、とまとめた。
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