黒ショウガなど、スポーツ市場に3素材を投入〜ウェルネスフードジャパン

2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、オリザ油化鰍フ講演「アスリートからお年寄りまでの運動機能サポート素材」を取り上げる。 


世界的にスポーツ市場が拡大

2020年東京オリンピックへの関心の高まりやアクティブシニアの増加など、ここ数年、我が国のスポーツへの関心が高まっている。

ある調査によると、週1回以上運動する人は二人に一人という。現実に、健食市場でも、スポーツサプリは堅調に売り上げを伸ばしている。

これは日本だけでなく、アメリカなど世界的に共通して見られる現象で、今後スポーツ市場はますます成長するものと予測されている。

こうしたスポーツサプリの需要が高まる中、オリザ油化では黒ショウガや赤ショウガ、オリザプロテインといった運動機能をサポートする健食素材の開発に力を入れているという。

黒ショウガ、持久力が向上

黒ショウガは日本では「黒ウコン」「黒ショウガ」と呼ばれ、見た目もウコンやショウガのような形態をしているが、いわゆるウコンの機能性成分であるクルクミンやショウガのジンゲノールなどは一切含まれていない。

原産国のタイでは、クラチャイダムと呼ばれ、1000年以上前から精力増進・滋養強壮などに用いられてきた、食経験の長い食材である。

黒ショウガに含まれる機能性成分は「ポリメトキシフラボン(ジメトキシフラボン)」で、他にも亜鉛、アルギニン、アントシアニンなどの栄養素を豊富に含む。

加齢に伴い筋肉が老化する。糖代謝や脂質代謝が低下し、エネルギー産生が減少する。代謝が低下すると、肥満や疲労、免疫の低下などが生じやすくなる。

しかし黒ショウガエキスを摂取すると、ポリメトキシフラボンがAMPKという筋肉内のエネルギーセンサーを活性化する。

これにより、糖や脂質の代謝が促進され、結果、持久力の向上やエネルギー産生が高まることが解明されている。

オリザ油化では、すでにヒト臨床試験も行っており、現在は機能性表示食品としても消費者庁に申請中である。

表示されるヘルスクレームとしては、「黒ショウガ由来5,7ジメトキシフラボン及び5-ヒドロキシ-7-メトキシフラボンには、現代生活で低下する物を握る力、加齢に伴って低下する立ち上がる力、歩行や自転車運動をサポートする機能があることが報告されています」というものになりそうだ、と解説した。

すでに黒ショウガエキスを用いたダイエット系、スポーツ系サプリメントは多数あり、成分としても知名度を徐々に上げているため、今後さらなる拡大が期待されるとした。

赤ショウガエキス、関節の炎症や痛みが抑制

日本人の高齢者の多くが関節炎に悩まされており、国民病ともいえるほどである。

関節素材としてはグルコサミン、ヒアルロン酸、コンドロイチン、U型コラーゲンなどが利用されている。

赤ショウガエキスは関節サポート素材で、インドネシア、マレーシア、インドなどが原産地で、現地ではショウガ湯やシロップ、ソースなど一般的に利用されている。

関節炎で生じる痛みはマクロファージが過剰に分泌されることによって生じる。

赤ショウガエキスには炎症の進行や痛みの原因となるNOやPGE2と呼ばれるマクロファージからの発生物質を抑制する作用がある。これにより炎症と痛みが抑制されることがヒト臨床試験でも報告されている。

また、既存のグルコサミンやプロテオグリカンとの相性も良いため、成分の差別化だけでなく、相乗効果を狙い、既存の商品への添加も効果的であるとした。

オリザプロテイン、米由来プロテイン

オリザプロテインは米由来プロテインで、アレルギー表示が不要であるという。

また、タンパク質の含有量が70%以上で、必須アミノ酸を豊富に含み、「ウエイトコントロール」「筋肉増強」「コレステロール低下作用」などが期待できるという。

乳たんぱくや大豆たんぱくも栄養価は高いが、安全面で、遺伝子組み換えでない米由来というのが最大のメリットといえる。

また米由来であるため、他のプロテインと比較しても必須アミノ酸含有量が最も高い。

さらに、オリザプロテインを摂取することで、CPT-1という遺伝子の発現が促され、脂肪代謝が起こり、脂肪蓄積が抑制される

つまり加齢に伴う体重増加が抑制されるという機能を持つ。

BMIが25〜30のやや肥満傾向にある30〜50代の女性20名を対象に二重盲検群間比較試験を行った(1日1gの摂取を8週間、軽度のウォーキングを併用)。

その結果、オリザペプチド摂取群の方には皮下脂肪面積、内臓脂肪面積ともに有意な減少がみられ、体重の減少も報告された。特に二の腕や太ももの周囲も減少したという。

オリザ油化では、アクティブシニア層やスポーツ愛好家に向け、加齢に伴う身体的変化(フレイルやロコモ)をカバーしながら筋力増加や減量を実現する素材を用意している。今後の研究や応用にも注目してほしいとした。


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