プレバイオティクスのケストース、腸内有用菌を増殖〜ウェルネスフードジャパン

2018年7月25日〜27日、東京ビッグサイトにて「ウェルネスフードジャパン」が開催された。同展示会セミナーより、物産フードサイエンス鰍フ講演「プロバイオティクスの重要性」を取り上げる。 


プロバイオティクス、腸に直接働きかける有用菌

物産フードサイエンスは、糖アルコールの技術・素材・用途開発を行っている。今回は、「結晶性オリゴ糖」の一種、「ケストース」の機能性について報告した。

ケストースは、人体に有用な機能を発揮するプレバイオティクス素材。

プロバイオティクスとプレバイオティクスの違いだが、プロバイオティクスは腸に直接働きかける有用菌で、乳酸菌やビフィズス菌などがある。

プロバイオティクスは腸内に直接働きかけるが、デメリットもある。

外から入れるため、腸内に定着せず増えにくい。有効性を得るには、一定期間継続して摂り続ける必要がある。

また、その特性からヨーグルトや飲料など製品形態も限られる。

プレバイオティクス、腸内の有用菌に働きかける

一方、プレバイオティクスには、オリゴ糖や食物繊維があるが、腸内の有用菌に働きかけ、有用菌を選択的に増やすことができる。

宿主の健康増進に包括的に働きかけ、プロバイオティクスとは違って製品形態もさまざまである。

ただし、プレバイオティクスは認知度が低く、研究もプロバイオティクスほどは行われていないため、意識しなければ摂取できない、というデメリットがある。

ケストース、メタボやアトピーの改善など

ケストースはプレバイオティクスに分類される。甜菜やアスパラガス、玉ねぎ、かぼちゃなどに微量に含まれていることがわかっている。

安全性が高く、甘味度は砂糖の30%程度と控えめだが、砂糖とほぼ同じ味や質を保っていることから、糖の研究者たちから注目されている。

ケストースには、整腸、抗酸化、メタボリックシンドロームやアトピー性皮膚炎の改善、遅発性食物アレルギーの改善、インスリン抵抗性改善などが報告されている。

また、他のプレバイオティクスと比べ、熱や酸素に強いため、製造や品質、安全面で管理しやすいことから、健康食品への応用が注目されているという。

ケストース、ビフィズス菌や乳酸菌を増やす

そもそもオリゴ糖などのプレバイオティクスには有用菌を増やす機能があるが、ケストースには有用菌のなかでもビフィズス菌、乳酸菌、酪酸産生菌を特異的に増やすことが解明されている。

ケストースは、酪酸産生菌の中でも人の腸に5〜8%存在するフィーカリーバクテリウムという菌を増殖させる。

酪酸は血液中に放出されることで、皮膚の代謝(アトピーの改善)や脂肪の代謝などに働きかけるが、酪酸そのものは匂いがきつく一般の食品から摂取することが難しい。

そのため腸内で酪酸産生菌により酪酸を作る方法が有効で、ケストースは酪酸産生菌を特異的に増やす。

「アレルギー抑制オリゴ糖」で特許取得

ケストースは、小児アトピーの改善にも効果が出ている。3歳以下のアトピー性皮膚炎の赤ちゃんにケストースを1〜2g/日を12週間程度摂取してもらった。

その結果、約6週間で症状改善し始め、12週にはほぼ改善したことが報告された。

小児アトピーは成長とともに自然に改善するといわれるが、15歳までの子どもでも改善効果が見られたため、ケストースは「アレルギー抑制オリゴ糖」として特許も取得しているという。

他にも、ケストースには、ヒト試験で、免疫調整、肌水分改善、脂質代謝改善作用(コレステロール減少)が、ラットの試験でインスリン抵抗性の改善が報告されているという。

ケストースは安全性が高く乳幼児にも使用可能で、すべての世代の腸内細菌の栄養源として活用できる。

今後、代表的なプレバイオティクスとして認知度を上げ、多くの人に活用してもらいたい、とした。



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