糖質制限を活用した効果的なダイエット指導〜第17回ダイエット&ビューティーフェア

2018年9月10日〜12日まで東京ビッグサイトにて、「第17回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。この中から、「糖質制限を活用した効果的なダイエット指導」を取り上げる。


今や、「ダイエット=糖質制限」に

ダイエット法については、毎年たくさんのメソッドが登場し、流行り消えていくことを繰り返している。

しかし、「糖質制限」だけはこの5年間生き残り、関連商品も多く登場し市場が活性し、今やダイエットの基本メソッドという地位を確立している。

そこでもう一度「糖質制限」について考え直してみようということで、「管理栄養士が考える糖質制限」についての公開ディスカッションが設けられ、ダイエット指導の第一人者である管理栄養士の伊達友美氏が司会を務めた。

パネラーとして、管理栄養士でミス・パリ・ビューティー専門学校 千葉校 副校長の須賀谷 映子氏、管理栄養士で栄養相談室・有美食工房の森川 有子氏が参加。

ダイエットといえば今や「糖質制限」と言い換えられるほど、市民権を得ているが、どのような人にどう「糖質制限」をすすめ、指導しているのか、伊達氏が聞いた。

これに対し、「そもそも制限とか禁止という強い言葉を使うことに抵抗がある。まずは食事日記などをつけてもらい、足りない栄養素を確認し、不足を補う指導をすることで実質的に糖質を減らす方向に持って行くことが多い」と須賀谷氏。

森川氏は「糖質をカットすることを指導してもゼロにすることは絶対にしない。アスリートなどの場合、むしろ糖質が必要な場合もあるので、あくまで個人のライフスタイルや食の嗜好などに応じて、必要かつ可能な範囲でカットする指導をしている」と答えた。

適切な水分摂取はダイエットの基本

伊達氏は「よほどの肥満やメタボ、糖尿の予備軍の人にしか糖質制限を指導することはない」とし、「糖質制限が流行っているけれど、実は日本人は2012年以降、パンの消費量が米の消費量を上回っていて、糖質制限=米が悪、という誤解をしている人も多く、米を食べていないことが逆に太る原因になっていることが多い」とここ数年の「米離れ問題」を指摘。

パンや麺類を中心に「簡単に食べられるもの」を適当に食べている人が多く、食事としてのバランスが悪いことが肥満や新型栄養失調の原因であり、主食を何にするか、米や玄米などをしっかり食べられる献立を選ぶことが、結果として適切な糖質制限になるのではないか、とした。

さらに、特に今年は猛暑で熱中症で体調を崩す人が続出したが、その多くが「米を食べていない」「朝食を欠食している」という共通点があった、と森川氏も指摘。

「米には十分な水分が含まれるが、パンは乾燥食で水分がほぼ含まれていない。水分補給は何よりも大事だが、水を飲むだけでなく食事から取る水分量を考えることも結果として適切な糖質制限になることが多い。例えば、みそ汁を飲む。もちろんごはんを食べることも、パンを食べるより水分を取ることになる、適切な水分摂取こそダイエットの基本」とした。

若い人の果物離れが著しい

また、糖質制限のブームの影で「ごはん」と同様に嫌われているのが「果物」ではないか、と伊達氏は指摘。

これについて森川氏は「果物はビタミン、ミネラル、ポリフェノール、食物繊維も摂れるので、むしろしっかり摂ってほしい、目安としては1日で片手に乗るくらいの量は食べるべき」とした。

須賀谷氏も「食材の"旬"を感じられるのが果物。果糖は血糖値をそれほど上げないし、摂る時間を午前中から夕方のおやつくらいまでにするなどすれば、むしろ摂取した方が良い」と答えた。

伊達氏も「糖尿病の人が果物を制限するのはわかるが、果物の消費量は米と同様に低下していて、特に若い人の果物離れが著しい。果物も米と同様恐れる必要はない」とした。

和食なら、糖質制限の必要はない

糖質制限ブームが続いているため「どうしても糖質制限をしたい、指導してほしい」というクライアントが3人の元へ後を絶たないという。

伊達氏の場合、「明らかに食べ過ぎている人で、しかも糖質=スイーツ=砂糖を摂り過ぎている人には、3日間の糖質制限を勧めることがある」という。

また、「3日であれば耐えられる範囲であり、また脳への影響もなく、その後の栄養指導でリカバーできる、3日だと水分が抜けるだけだが、体重が確実に減るため、患者さんのやる気を高めるのにはちょうどいい」という。

須賀谷氏も「お客様のほとんどが、一生糖質制限ができるわけではないので基本的には勧めないが、確かに結果が出やすいので、少しだけ制限をしてもらうことで、結果が出れば糖質への依存や優先順位が減ることが多い」と答えた。

森川氏は「甘いもののおやつを食べる時に、水分を摂っていない人、お皿に盛り付けないで袋食いする人が多く、心のご褒美になっていないため、満足できずに量を食べて依存になるケースが多いのでは」と指摘。

一般の人が闇雲に糖質制限を行うのは非常に危険で続かないことが多い。そのため、「就寝前の最後の食事から糖質を減らす」「主食の質を変える」「足りないものを補う」「水分をしっかりとる」ことが何よりも大事であると伊達氏。

またそもそも「糖質制限」とは「痩せなければいけない人=病人」の食事療法であり、BMI値が20前後の「痩せたい人」の食事方法ではない、と解説。

これから東京オリンピックを迎えるにあたり、和食でのおもてなしや健康づくりが世界から注目されている。糖質制限の観点から考えても和食は優れている、和食を中心にした献立を考えれば、糖質を制限する必要はほとんどない、とまとめた。


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