ドクダミ発酵エキスに抗菌・抗ウィルス作用〜第17回ダイエット&ビューティーフェア

2018年9月10日〜12日まで東京ビッグサイトにて、「第17回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。この中から、潟Rレインの講演「ドクダミ発酵エキス〜天然の抗菌・抗ウィルス」を取り上げる。


漢方では解毒剤としても処方

さまざまな天然由来の成分から原料開発を行っている株式会社コレイン。中でも、昨年特許を取得した「ドクダミ発酵エキス」は、天然の抗菌作用だけでなく、細胞のデトックスを助ける可能性もあり、私たちの生活に大いに役立つという。

ドクダミは多年草の植物で、古くから日本薬局方にも記されている重要な「薬草」の一つでもある。

現代社会において、毎年のように新型インフルエンザが登場したり、皮膚炎などで悩まされる人が増加しているが、抗菌や抗ウイルス作用を持つ薬剤は作用が強く副作用の心配から、抵抗感を持つ人も少なくない。

コレインではこれまで天然由来成分の研究を行ってきたが、ドクダミは古くから湿疹やかぶれなどにも良いとされ、また漢方では解毒剤としても処方されていることからドクダミのエキスを抽出しその効果効能の研究を行ったという。

ドクダミに含まれる有効成分はデカノイルアセトアルデヒト(抗菌作用)、ラウリルアルデヒド(抗菌作用)、クエルシトリン(利尿作用)などだが、これらは食物繊維や糖と結合して存在しているため、抽出が難しく、また抽出できても高分子であるため吸収率が低いことが課題であった。

抗菌や抗ウイルスなどの作用

そこで同社では、米ぬか、納豆菌、紅麹菌(すべて国内産)を用いて発酵させたエキスを抽出することに成功した。抽出したエキスは苦味はあるが無臭で、防腐剤を添加しなくても、冷暗所にて2年間安定性を保てるという。

このエキスの主な有効成分を調べると「カテコール」と「アデニン」そして「エラグ酸」といった、核酸とポリフェノールの複合体であることも確認できた。

エキスはパウダー化することも可能で、より多くのものに利用できる。動物・ヒトともに安全性試験も終え、特許も取得済みである。

具体的に、ドクダミ発酵エキスには、抗菌、抗ウイルス、遺伝子デトックス、皮膚幹細胞増殖といった作用が認められるという。

抗菌作用についてはアクネ菌に対する試験を行った。抗生物質であるカナマイシンを添加したアクネ菌培養地とドクダミ発酵エキスを添加したアクネ菌培養地を比較すると、カナマイシンよりドクダミ発酵エキス添加の方が、39%もアクネ菌を減少させることができたという。

除菌スプレーや衣類用繊維に応用

また、皮膚炎ウイルスに対しても同様の試験を行い、抗生剤であるザナミビルとの比較を行った。

その結果、ザナミビルよりドクダミ発酵エキスの方が33%も皮膚炎ウイルスを低下する結果が得られた。これらの試験によりドクダミ発酵エキスに優れた抗菌、抗ウイルス、滅菌の作用があることが分かったという。

他にも、インフレンザウイルスに対してもザナミビルより強い抗ウイルス作用を示したが、ドクダミ発酵エキスは医薬品の許可を取っていないため、医薬品としてではなく、除菌スプレーや衣類用繊維等に織り込むといった応用を考えているという。

また、ドクダミ発酵エキスの特徴的な作用に「皮膚幹細胞増殖」がある。人の皮膚細胞から幹細胞を採取し、紫外線を当てて障害を起こした後に、化粧品成分としても人気の高いEGFを添加したものと、ドクダミ発酵エキスを添加したもので比較したところ、ドクダミ発酵エキス添加群の方が幹細胞数が5倍以上も上昇した。

EGFとドクダミ発酵エキスを併用すると10倍以上の幹細胞増殖という相乗作用が認められたため、化粧品への利用はEGFなどとの併用がより効果的であるという。

遺伝子の酸化物質を抑制する作用

また、遺伝子デトックスについては当初予期していなかったが、人の皮膚培養細胞に紫外線を照射して酸化させたものに、ドクダミ発酵エキスを添加し、対照群としてアスタキサンチンを添加したもので酸化量を測定した。

結果、アスタキサンチンよりもドクダミ発酵エキスの方が酸化物質量が激減しており(約1/10にまで低下)、ドクダミ発酵エキスには遺伝子の酸化物質を抑制する作用が確認され、「遺伝子デトックス作用」と称したという。

同試験では遺伝子の修復に働きかける酵素「DNAポリメラーゼV」を活性する作用が見られ、ドクダミ発酵エキスは遺伝子修復の引き金となる働きを有することが推測できるが、そのメカニズムについてはまだ解明されておらず、引き続き研究を続けていくという。


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