特定保健用食品に続き、食品業界では「機能性表示食品」が話題となっているが、同じようなシステムを各地方自治体でも構築しようという動きが高まっている。
地方には独特の特産品や農産物などが多い。それに付加価値をつけてより多くの消費者に届けようという試みもあるし、消費者側にも「より安心できるものを手に入れたい」というニーズがある。ここでは北海道・静岡・四国の取り組みを紹介する。
北海道の機能性表示制度「ヘルシーDo」
北海道は一次資源が豊富だが、付加価値が低いことがかねてからの課題であった。例えば、明太子。多くの人が福岡(博多)のものと思っているが、ほとんどが北海道産のものを博多で加工している。
また伊勢名物の赤福も小豆はもちろん、もち米も北海道産なのに、伊勢で加工されているため伊勢を代表する銘菓となっている。
このように、北海道の一次産品が他県で加工され付加価値を高めているのに、道内ではそれができていない。
そこで、道内の食品に付加価値をつけるために、「ヘルシーDo」が誕生した。これは、北海道産の機能性素材または北海道で製造された加工食品を対象に、ヒト介入試験の査読付き論文があれば北海道庁が認定するという制度である。
一般的にヒト介入試験はハードルが高いとされている。しかし、ヘルシーDoでは北海道情報大学や江別市立病院、臨床検査センターなどが連携。
江別市に住む地域ボランティア6000人による「江別モデル」というシステムが確立され、道内でヒト試験まで完結できる仕組みが構築されている。
平均して29.2%の売り上げ増
ヘルシーDoは、トクホ食品や機能性表示食品と違い、具体的な効果効能を商品に記載することはできない。
しかし、認定マークとロゴがあるため「ヒト試験による科学的根拠がある」ということをアピールするのに十分役立っている。現在、認定製品は50社96件、106商品ある。
また機能性表示制度では認められていない嗜好品も対象になっており、ヘルシーDoの認証マークをつけたことで、平均して29.2%の売り上げ増となり、価格の安定や大手流通やこれまでと違う販路への採用など、波及効果も広がっているという。
ヘルシーDoは、小規模事業者でも手軽に参入でき、地域ブランドとして認定企業が共同でPRできるといったメリットもある。ちなみにヘルシーDoと機能性表示の両方を取得している商品も出始めており、商品の付加価値を上げるのに大いに役立っているという。
静岡県のフーズ・サイエンスヒルズプロジェクト
静岡県は、人口は日本で第10位(約370万人)だが、食料品・飲料等の合計製造品出荷額は2兆3000億円を超え、全国第2位(1位は北海道)を誇る。しかしながら、昨年までは十年連続で全国1位の出荷額であったため、今巻き返しを図っている最中だという。
あまり知られていないが、静岡は全国で5位の事業所数を誇り、ハウス食品、明治、ヤクルト、はごろもフーズ、サッポロビール、アサヒビールといった日本を代表する企業も多く所在している。ちなみに、わさび、みかん、ジュース、レトルト食品、サプリメントなどは日本一の生産額・生産量を誇る。
・
・