機能性表示食品、受理件数の現状報告〜食品開発展2018セミナー

2018年10月3日(水)〜5日(金)の3日間、東京ビッグサイトにて「食品開発展2018」が開催された。同展示会セミナーより、アリメント工業鰍フ講演「機能性表示食品の現状2018」を取り上げる。


加工食品、サプリメントを超える受理数

アリメント工業では、機能性表示食品の届出サポート業務に力を入れており、すでに100製品以上の届出実績を持つ。今回のセミナーでは、2018年9月28日時点の機能性表示食品の届出の状況と、今年3月に行われたガイドラインの変更点について解説を行った。

機能性表示食品として消費者庁に届出が受理されているアイテムは、すでに1407アイテムを超えている。サプリメントが650アイテムに対し、加工食品は726アイテムと51%を超えている。

このことから、サプリメント以外の食品に機能性が表示できることがこの制度の最大のメリットと感じて取り組んでいる企業が多いことがうかがえる。

生鮮食品はまだ17アイテムと少ないが、これも特定保健用食品(トクホ)との差別化につながっており、「生鮮の受理は難しい」とされるが、届出数は今後も増えていくことが予測される。

制度がスタートして4年目、初年度(平成27年)の受理数は310件、2年目は倍の620件となり、このままペースが上がるかと予測されていたが、実際は消費者庁の作業や資料の差し戻しなどに時間を要し、3年目(平成29年)は452件に落ち着いている。

今年度は制度の改定などもあり、200アイテム程度の受理件数が見込まれている(前年度5割弱)。この4年で届出撤回となった商品は93アイテムで、「企業責任」とはいえ、制度の厳しさも伺えるという。

難消化性デキストリンやGABAの受理数が多い

受理された機能性成分の特徴については、昨年度は「難消化性デキストリン」が最も多く、「GABA」「イチョウ葉由来フラボノイド配糖体、テルペンラクトン」「DHA、EPA」「ルテイン」と続いた。

今年は「GABA」が最も多く、さらに「3-ヒドロキシ-3-メチルブチレート」「アフリカンマンゴノキ由来エラグ酸」「グルコシルセラミド(パイナップル、米、こんにゃく由来)」「難消化性デキストリン」と傾向を変えている。

新たな成分が認められれば、それだけ制度も充実していくため、これからも色々な成分で届出が許可されることが望ましい。

ガイドラインの改正は今年の3月28日に3回目の改正が行われている。大きな改正項目として「対象となる機能性関与成分の拡大」と「分析方法を示す資料の開示について」「同一性がある製品の再届出」「届出資料の事前確認」「エキスの扱い」の5点があった。

「対象となる機能性関与成分の拡大」では、キシリトール・エリスリトール・フラクトオリゴ糖・キシロオリゴ糖・ガラクトオリゴ棟・乳化オリゴ糖(以上、すべて糖質)と、L-アラビノース・パラチノース・ラクチュロース(以上、糖類)が対象成分と認められた。

ただし、糖類の過剰な摂取を招かないような摂取の際の注意喚起を必ず行うことなどが求められている。現状では受理の実績がないため、今後に期待が寄せられる。

「分析方法を示す資料の開示について」は、定性試験や定量試験の分析方法を原則として全開示することが求められ、分析の手法や分析に使った機器、算出法などもPDFかしてアップロードすることが求められるようになった。

。 もちろん、すでに受理されている製品についても随時公開しなければならない。一部正当な理由があればマスキングしての公開も可能だが、基本は全公開が原則となり、より透明性の高い制度に成長している。

「エキスの扱い」が緩和

また届出受理をよりスムーズにする施策として、「同一性がある製品の再届出」は速やかに確認されることが確認されたほか、日本健康・栄養食品協会または日本抗加齢協会のいずれかで届出資料の事前確認(有料)を行ったものについては、その旨を届出ることで、資料確認が迅速化されることが発表となった。

これまで不可だった「エキスの扱い」については緩和され、対象成分として認められたが(単一植物を基原をとした濃縮物、蜂等から分泌される物質)、指標成分の機能性が説明可能であることなど、ハードルはまだ高い。

具体的には「機能性関与成分として●●エキス」「◎◎◎として▲▲mg」「★★として◆◆mg」とエキスに含まれており、定量できる機能性関与成分(指標成分)を全て記載しなければならない。

また今回の改定では、販売状況についても届出日から60日経過後の販売状況の有無を届出ることも追加されたという。

受理件数はペースダウンしているが、消費者と企業の双方にとってより使いやすい制度に育てていくため、今後も改正は行われるであろう。サポート企業や届出資料の確認団体などを上手く活用し、受理に向けて取り組んでほしいとまとめた。


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