健康にも有益な食材
ヒトエグサは「あおさ」や「アーサ」と呼ばれ、海苔の佃煮や味噌汁の具、お好み焼きなどに広く利用されている緑藻類である。
ほとんどの人が一度は口にしたことがある食材で、国内に流通する60〜70%のヒトエグサが三重県産である。
このヒトエグサの構造を顕微鏡で確認すると、一層(一重であり、これが名前の由来だという)の細胞の集合体で、膜状になっている。
その細胞と細胞の間を満たす細胞間物質には、食物繊維、硫酸化多糖、ビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれ、健康にも有益な食材であることが容易に想像できる。
ちなみに、三重県人は国内で最もBMI平均値が低く、肥満が少ない県民として知られているが、ヒトエグサの消費量が多いこととも関係しているかもしれないという。
「ラムナン硫酸」が、ヒトエグサの機能性関与成分
ヒトエグサの細胞間物質の組成を調べると、ラムナン硫酸が約72%、βグルカン・セルロースが23%、たんぱく質が5%となっている。
この豊富に含まれる「ラムナン硫酸」こそ、ヒトエグサの重要な機能性関与成分と考えられている。ラムナン硫酸は分岐鎖のあるラムノースの直鎖に硫酸基が結合した構造をしており、ラムノース主体の硫酸化多糖類である。
これはフコイダンの細胞間物質がほぼフコースが主体となっているのと似ているという。
フコースが人に対して有益な機能性を示すのと同様に、このラムナン硫酸にもさまざまな生体調整作用があることが推測できることから、三重県大学、鈴鹿医療科学大、富山大学との共同研究を行った。
その結果、ラムナン硫酸には@体重抑制効果・肝臓脂肪沈着抑制効果 Aコレステロール低下作用 B抗血液凝固作用 Cがん抗転移作用 D抗ウイルス作用 Eヒアルロニダーゼ阻害作用などの機能があることが明らかになった。
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