新たな機能性成分の供給源に
国立研究開発法人 水産研究・教育機構 中央水産研究所では、まだ知名度は高くないが、新たな機能性成分として「アカマンボウ」に着目し、研究をすすめているという。
アカマンボウは、一般的に知られるフグ目のマンボウとはまったく別の種類で、大洋域の海面近くから水深500mまでの広い海域に幅広く生息する大型の捕食性魚類である。
アカマンボウは大きいものだと2mを超えるものもあるが、一般的に漁獲されるものは1m程度、体重は20〜40kg程度のサイズのものが多い。
日本でも遠洋はえ縄漁業で混獲されることが多く、惣菜の原料や加工品として割と多く市場に出回っている。
個体や魚肉単体で販売されるのは沖縄などの一部地域にのみ限られているため、一般的にアカマンボウを知る人はほとんどいない。
しかし市場単価はマグロ類で最も安い「ビンナガ」よりも100〜150円/kgほど安く、浜値で概ね350円/kg程度で安定して流通しているという。
クジラから「バレニン」という抗酸化成分が発見
「最強の抗酸化成分」あるいは「渡り鳥や回遊魚の体力の源」といったキャッチコピーで知られる「イミダゾールジペプチド」は、「ヒスチジン」と「アラニン」という2つのアミノ酸が結合したものである。
イミダゾールジペプチドとしては「カルノシン」と「アンセリン」の2種類がよく知られている。ちなみにカルノシンは渡り鳥に多く含まれ、アンセリンは回遊魚に多く含まれる。
最新の研究から「第3のイミダゾールジペプチドと」して「バレニン」という抗酸化成分が発見された。これは長時間絶食状態で、しかも不眠不休の状態でも生体を維持できるクジラから発見された成分である。
イミダゾールジペプチドの中でも、アンセリンはマグロやカツオなどの高度回遊魚の筋肉に多く含まれているが、バレニンはこれらの回遊魚にはほぼ含まれず、グジラ特有の成分と考えられてきた。そのため、バレニンの知名度はなかなか上がらなかった。
ちなみにクジラにはバレニンに加え、カルノシンとアンセリンも豊富に含まれ、特にバレニンの含有量が驚異的に多いことが、クジラの生命力を支えているのではないかと推測されている。
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