栃の実の種子皮に含まれるプロアントシアニジンはプロアントシアニジンの中でもAタイプに分類され、細菌付着抑制や抗がん、脂肪吸収抑制作用があることが解明されている。
プロアントシアニジンの機能性も優れているが、栃の実は抗酸化作用が高く、ブルーベリーの抗酸化力を100の値とすると、クランベリーは90、栃の実は130となる(DPPHラジカル消去法にて測定した場合)。
目を酷使する現代人に役立つ
現在、栃の実ポリフェノールとして様々な研究がスタートしている。島根大学との共同研究では、動物試験で、抗肥満、糖吸収抑制、脂肪吸収抑制、抗酸化、光障害に対する保護、抗がん剤メトトレキサートの副作用発症リスクの低減、ピロリ菌付着抑制などが明らかになりつつある。
いずれも作用機序の解明には至ってはいないが、栃の実を摂取すると血中の抗酸化力が上昇するため、このことが関与しているのではないかと考えられている。
特に、光障害に対する保護作用については、栃の実を摂取したマウスは、そうでないマウスと比べ、光照射をした後の網膜の損傷(酸化ストレスによるもの)が見られなかったという結果が得られ、目を酷使する現代人に役立つ可能性が高い。
コスメやお茶など多彩な用途
そもそも、栃の実は苦味が強いが、これはサポニンによるもの。アク抜きの程度をコントロールすることで、サポニンの血糖値上昇抑制、脂肪吸収抑制、抗肥満とポリフェノール類の持つ機能性との相乗効果も高いと考えられる。
日本で、1万5000年前から食料源としてされてきた栃の実は「不老長寿の実」とも言い伝えられている。
現在は、菓子の原料としての利用が主流だが、コスメ、お茶、ハーブブレンド、タブレットなどの商品も少しずつ増えてきている。今後の展開も大いに期待できるとまとめた。
・