さらに「強いブランド」にしていくためには4つの条件があるという。以下のようなものである
1、コンセプトが明確でイメージが明快
2、感性に訴求する、心に訴求する
3、他と違う独自のポジション
4、低価格ではない
岩崎氏は現在アメーラトマトというトマトのプロデュースをしているが、トマトといえば「デルモンテ」とか「カゴメ」というすでに強いブランドがあり、「トマト」という広いワードで勝負することはできないと考えたという。
そこで「グルメトマト」というカテゴリーを自ら作り出し、その範囲で1番になるように意識しているという。
つまり、「美味しいトマト」という漠然としたコンセプトではなく「最高品質の高糖度トマト」というより明確なコンセプトを打ち出し、さらに「グルメトマト」という独自ボジションで1番になることを意識してブランディングしているという。
もちろんこのコンセプトやポジションからすれば、アメーラトマトは低価格である必要はなく、プラスティックの宝石箱のようなケースにパッキングすることで、消費者の心にも訴求しているという。
どんなふうに1番になりたいか
このように、コンセプトが明確で、どこでどんなふうに1番になりたいかを決めておくと、生産者側にブレがなくなる。売れないから低価格にしよう、新商品を開発しようという発想にはならない。
お茶の産地として静岡は有名だが、なぜ「京都福寿園 伊右衛門」の方が選ばれるのか。味も品質も変わりないのに、ブランド力のある「京都福寿園」の方が圧倒的に力のある商品だ。
これも「京都」に「美味しい」「抹茶」「和菓子」といったイメージがついているからであろう。
例えば、以下の公式の○○の部分に何を入れれば売れる商品になるか考えてみてほしい。
「商品+○○=満足」
「お茶+○○=満足」
「トマト+○○=満足」
この○○の部分に「美味しい、安全、機能性、低価格」とった言葉を思いついたのであれば、まだ生産者側の発想から抜けていない。
「売る」から、「選ばれる」「引力のある」に
例えば、お茶+「和菓子」=満足、トマト+チーズ=満足という発想ができるようになると、消費者側の視線に立てたことになり、消費者=マーケットニーズを満たすマーケティングができるようになる。
静岡のお茶も販促の鍵はこの発想にあるのではないか。このマーケティング方法は、おそらく食品だけでなくあらゆる場面で活用できるであろうと岩崎氏は語る。
これからの時代は「売る」のではなく、「選ばれる」「引力のある」商品を作る、あるいは商品はそのままでもブランディングをする必要がある。
そして、ますますシンプルなものが強くなっている。わかりやすい。すぐに心に響く。シンプルは最もパワフルでパーフェクトである。
この辺りを心に留めて、今ある商品を真似されないブランド力のある商品、選ばれる商品に高めてほしいとまとめた。
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