これらの活性成分にはα-glucosidase阻害活性による抗糖尿病薬「acarbose」と同等の阻害活性があることも判明し、さらに小腸の粘膜に存在し持続活性を示すことなどもわかっている。
さまざまな毒性試験で安全性が担保
サラシア属植物エキスはさまざまな毒性試験により安全性は十分担保されている。
中でも糖尿病の境界地にいる被験者に対する臨床試験や耐糖能が正常である被験者にも安全性が担保されているため、予防医療が重要とされる現代において重要な健康素材といえる。
しかし、サラシア属植物の市場品は、野生種が採取されて供給されているため、基源植物の同定が困難であったり、採取地や採取時期、加工調整法なども明確にされていないものが認められるのが問題点。
サラシア原料や抽出エキスの品質評価方法として、ポリフェノール含量やキサントン配糖体の含量の定量法や、α-glucosidase阻害活性を指標とした評価法を行なっているが十分とはいえない。
また、これらの指標から、有効成分の含有量が、同じサラシア属植物でも植物種と山地が違うと有効成分に顕著な差異が認められることもわかっている。
さらに、日本ではサラシア属植物が健康食品素材として利用され、また需要も増しているが、野生種の資源枯渇が起こらないよう、栽培研究も進める必要がある。
葉の部分に期待されるリウマチ改善効果
現在、サラシア属植物はα-glucosidase阻害活性成分の定量分析が可能になったことで品質評価、安全性の確認、臨床試験が可能となり、特定保健用食品(機能性表示成分はサラシア由来サラシノール)や機能性表示食品(機能性関与成分はネオコタラノール)として利用されている。
しかし、今後は葉の部分に期待されるリウマチ改善効果や、腸内細菌叢を変化させることで起こる免疫機能の向上効果などについてもその作用機序が明らかにされることが待たれている。そして、原料として安定供給できるよう、大量栽培の試みも着実に成果を挙げている、という。
ちなみに吉川氏が中心となっているサラシア属植物普及協会では、サラシア属植物の研究だけでなく、シンポジウムの開催、サラシア属抽出エキスに関する製品化、品質向上や規格基準の策定などにも力を入れていると報告した。
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