びわの葉、古くから民間療法で使用
長崎県のお茶の生産量は全国第10位で、栽培面積は747ヘクタール、平成29年度の栽培量は1050トンと、多くのお茶を生産している。
また、あまり知られていないが、びわの生産量は長崎県が全国第1位である。
びわの葉は日本薬局方に記載されるほど薬効が高く、長崎でも民間療法薬として用いられてきた歴史があり、今でも葉の部分が地元では湿布などによく使われている。
びわは季節の果物として食されるだけでなく、長崎県民にとってはポピュラーな健康茶として日常的に愛飲されている。しかし、この健康茶が県外に広まることはこれまでなかった。
しかし、国内の健康問題と同様、長崎県でも高齢化や生活習慣病罹患者増の問題があり、健康に寄与する長崎県独自の高付加価値製品の開発に期待が寄せられ、びわを使った商品の研究が長く行われてきた。
「びわ×緑茶」に効果あり
長崎県はお茶の生産にも力を入れ、50種類以上の発酵茶を作っている。そのうち、糖尿病予防や抗肥満効果が期待できるものをスクリーニングしたところ「びわ×緑茶」に効果があることが見い出された。
そこで、長崎県農林技術開発センター・長崎県工業技術センター・長崎大学・長崎県立大学・九州大学の産官学の連携プロジェクトによる共同研究で「びわ葉混合発酵茶」が誕生した。
びわのお茶と緑茶の茶葉を一緒に揉み込んで発酵させるという世界初の「異種混合発酵製法」で、すでに多くの機能が知られている「茶カテキン」の量を増加させた。
さらに「びわ葉混合発酵茶」の独自有効成分である「カテキン重合ポリフェノール(高分子ポリフェノール)」の含有量を高めることにも成功した。
この特殊な発酵製法で味がマイルドになり、和食・洋食のいずれにもマッチするお茶になった。
血糖値上昇抑制や体脂肪減少などの作用
さらに「びわ葉混合発酵茶」には、ヒト試験にて「血糖値上昇抑制」「血中の中性脂肪濃度減少」「体脂肪減少」などの作用が認められ、まさに現代人の悩みをサポートする魅力的なお茶に仕上がっている。
血糖値上昇抑制のメカニズムは「カテキン重合ポリフェノール(高分子ポリフェノール)」が、マルターゼという糖の吸収を促進させる酵素の働きを抑制することで、血糖値の上昇を抑制することが解明されている。
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