キチンナノファイバー、新産業の創出が期待
これまで、カニ殻の主成分であるキチンは、化学処理により、キトサンやグルコサミンとして、健康食品や抗菌製品などに利用されてきた。
キチンはカニ殻を粉砕するとキチンパウダーになるが、水に溶けにくいことから配合素材としては扱いが容易ではなかった。
そこで、伊福氏らの研究チームは、キチンパウダーを極限まで粉砕し、10ナノ(髪の毛の2万分の1程度)の極細繊維にすることを試み、キチンパウダーを水に均一に溶けるジェル状にすることに成功した。
キチンナノファイバーは、化粧品や食品への添加剤、フィルムなどの補強繊維、農業資源や医薬品などへの利用が期待されるが、スキンケアや創傷治癒、育毛、ダイエットなど健康・美容用途でもマーケットの創出が期待される。
伊福氏らの研究で、これまで廃棄物でしかなかったカニ殼から「キチンナノファイバー」を製造する技術が確立され、今後、一般食品・健康食品・医薬品への利用など、さまざまな展開が期待できること、また鳥取県の新産業創出につながることなどが高く評価された。
安藤百福賞の各受賞者には、食創会の会長である元内閣総理大臣の小泉純一郎氏より表彰状と副賞が直接手渡された。
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