酵母エキス、風味・食感アップなど多彩な機能〜第24回ifia JAPANセミナー

2019年5月22日(水)〜24日(金)、東京ビッグサイトにて「第24回ifia JAPAN(国際食品素材/添加物展・会議)」が開催された。同展示会セミナーより富士食品工業鰍フ講演「酵母エキスのさまざまな機能とその可能性」を取り上げる。


酵母エキス、食感を引き立たせる

富士食品工業鰍ナは、さまざまな調味料やエキスを開発・製造している。今回は酵母エキスの紹介を行った。

昨今、食品業界では原料価格が高騰し、乳製品・魚介類・肉類・香辛料・糖質・果汁などすべての価格が上昇している。

原料が増やせず、減らすような状況にあって、それでもそれぞれの製品の特性を引き立てるアイテムが求められている。

例えば、果汁を増やさなくても果汁感がアップしたり、チーズを増やさなくてもチーズ感がアップしたりするようなものだ。

このニーズに応えてくれるのが「酵母エキス」であるという。酵母エキスは、酵母が持っているアミノ酸やペプチド、核酸といった成分を抽出し、調味料化したもの。

8種類の高機能型酵母エキス

酵母エキスは、従来の旨味調味料にはない「風味」「呈味成分」を持つ。富士食品工業では長年のノウハウを活用し、現在8種類の酵母エキスを開発・提供しているという。

いずれも独自の発酵技術と菌株、エキス化技術を結集した高機能型酵母エキスで、目的に応じて使い分けることができる。

中でも、「バーテックスIG20」は、核酸(イノシン酸Na、グアニル酸Na)を20%以上含有し、遊離アミノ酸(グルタミン酸等)や有機酸(コハク酸等)との相乗効果により、少量で旨味や厚みを付与することができる。

つまり核酸による「カツオぶし・椎茸の旨味」と、有機酸による「貝類の旨味」、そして遊離アミノ酸による「昆布の旨味」が混ざり合うことで、強力な旨味を感じられる調味料になるという。

「付加価値型酵母エキス」に進化

これまでは旨味調理量の代用品と考えられてきた酵母エキスだが、使用条件や使用量により抑制やエンハンス(拡張、増強)といった機能も得られる「付加価値型酵母エキス」に進化している。

「バーテックスIG20」はパン酵母由来の豊富な旨味成分を含有した酵母エキスで、最初は味にパンチを加え、中盤で味に厚みを与え、後味を長引かせるという呈味パターンを持つ。そのため、ラーメンやうどんのスープに少量添加するだけでも素材本来の旨味を底上げするという。

他にも効果的な使い方として「カレー」に使用することでスパイシー感がアップする。

価格が高騰しているジンジャーやガーリックなどのスパイス類、各種ペッパーの使用量が抑えられ、失われがちなスパイシー感を持続させることが可能だという。

「ビーフシチュー」に使用すると、余計な酸味を抑制し厚みも加わるため、煮込み感や熟成感が短時間で創出される。

原料高騰問題にも役立つ

こうした「余計な酸味を抑える効果」はさまざまなドレッシングにも応用できる。特に乳酸系の酸っぱさを抑えるためpH調整にも効果的という。

また、「ブイヤベース」などの魚介スープに利用すると、魚介の旨味が底上げされるだけでなく、魚介感が増す。特に魚介は煮込むことで、魚介感が失われがちだが、その維持にも役立つ。

また、減塩は食品業界の課題となっているが、減塩することで失われがちな「美味しさ」や「物足りなさ」も「バーテックスIG20」を添加することでバランス調整され、満足感がアップする。減塩で用いられる塩化カリウムの苦味を抑制する効果もある。

このように、さまざまな機能性があり、和洋中のすべてに使用でき、わずかな量を添加するだけで品質改良や味のバランス改善などに効果的である。原料高騰対策にも役立つため、商品開発に役立ててほしい、とまとめた。


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