トマト種子エキス、美肌効果で期待
〜第24回ifia JAPANセミナー


2019年5月22日(水)〜24日(金)、東京ビッグサイトにて「第24回ifia JAPAN(国際食品素材/添加物展・会議)」が開催された。同展示会セミナーよりオリザ油化鰍フ講演「リコピンだけじゃない、知られざる「トマト種子エキス」の美容効果とトマト種子サポニンの機能性」を取り上げる。


トマト種子にしか含まれない特殊なサポニン

オリザ油化鰍ヘ昨年10月の「食品開発展」にて、「トマト種子エキス」の機能性について発表している。

今回は新たに試験を重ね、「トマト種子エキス」の優れた美容効果のメカニズムについて報告した。

トマトにはビタミンCやリコピン、サポニンやGABAといった機能性成分が豊富に含まれている。

これらの成分や研究、エビデンスはすべてトマト果実によるもので、これまでトマト種子に特化した研究は行われていなかったという。

そこでオリザ油化では、トマト種子に特化して研究を行ったところ、トマト種子には「リコペロサイドA(lycoperoside A)」と「リコペロサイドH(lycoperoside H)」という、種子にしか含まれない特殊なサポニン化合物が含まれていることが分かった。

コラーゲンのリサイクルシステム

リコピンには美肌に関係する機能がある。そのため、この2つのトマト種子成分にも同様の効果が期待できるのではないか。

これまでは、弾力やハリが保たれた美しい肌を作るために、コラーゲンやエラスチンといった肌の成分を外側から補うか、内側から補う方法についての研究が多かった。

しかし、改めて肌の構造について研究を重ねていくと、コラーゲンやエラスチンといった成分は、肌の内側で不要になると分解される。

この分解された成分が肌細胞に取り込まれると、再びコラーゲンやエラスチンにリサイクルされるというシステムを形成していることが分かった。

コラーゲンとエラスチンの再合成で4つの遺伝子が活性

この分解産物が正常に線維芽細胞に取り込まれなかったり、除去されずに残ってしまうと、肌のターンオーバ(生まれ変わり)や細胞の変化、酸化ストレス障害の原因となり、さまざまな皮膚の老化を招く。

これまでのようにコラーゲンやエラスチンを「どう補うか、どう増やすか」だけでなく、美肌の維持のためには「分解物のスムーズな取り込みと除去」が重要であり、新たな課題となる。

この分解物の除去と、それにより行われるコラーゲンとエラスチンの再合成には4つの遺伝子の活性が大切であることも分かっている。

コラーゲン、エラスチンの産生に関与する遺伝子がsmad、fibulinという2つの遺伝子。分解物取り込みに関する遺伝子がebdo180、neuraminidase-1という2つの遺伝子である。

ヒト繊維芽細胞にトマト種子エキスを添加する試験を行ったところ、smad、fibulinという2つの遺伝子の発現が増加し、その結果コラーゲン、エラスチン産生量の増加が確認できたとという。

より人間の皮膚構造に近い状態で試験

またトマト種子エキスの細胞添加で、ebdo180とneuraminidase-1という2つの遺伝子の発現が増加し、その結果、分解物の除去能力が高まったことも確認できた。

これらの試験を細胞試験だけでなく、細胞シートを使ってより人間の皮膚構造に近い状態で行ったところ、老廃物の減少(取り込み・除去)とコラーゲン・エラスチンの増加効果が確認できた。

また、皮膚の老廃物を取り込む器官である細胞内のリソソーム(細胞小器官)も増加しており、コラーゲンとエラスチン以外の老廃物や分解物の取り込みも強化されることが明らかになった。

肌のたるみやしわを予防・改善効果が期待

これらの研究結果から、トマト種子エキスには皮膚の真皮でコラーゲンやエラスチンが劣化した際に生じる分解物や老廃物を取り込み、そのリサイクルを促進させ、細胞外マトリックスを適正に維持することで、肌のたるみやしわの予防・改善効果が期待できることが分かった。

トマト種子エキスは水溶性のパウダーであるため、他の美肌成分との相乗効果も期待できる、とまとめた。


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