麻の実、「食」や「医療」で注目
〜栄養食品素材展セミナー


2019年7月22日(月)〜24日(水)、東京ビッグサイト青海展示場にて「栄養食品素材展」が開催された。同展示会セミナーより 石井 良治氏(潟jュー・エイジ・トレーディング食品事業部 事業部長)の講演「麻の実がキレイ&ゲンキのために選ばれる理由」を取り上げる。


生命力が強く、土壌を豊かにする

麻の実は「ヘンプ」ともいわれ、近年ではスーパーフードの一つとして知られている。「麻」の学名はCannabis Sativa(カンナビス サティバ)。

アサ科の植物で一年草、原産地は中央アジア。生命力がとても強く、農薬や化学肥料を使用することなく、約3ヶ月で高さ3〜4mまで成長する。

やせた土地でも十分に育ち、土壌も豊かにする。また葉や実の全て使えるため、環境に優しいことでも知られる。

現在は中央アジアだけでなく世界各地で栽培され、ニューエイジトレーディング社では主にカナダ産のものを利用しているという。

無駄なく全て使える

麻の植物は、無駄なく全てを使えるのが最大の特徴だが、各部位はどのように利用されているのか。

葉は「肥料・飼料・医療品」に、茎は「燃料・紐やロープ・住宅用断熱材・自動車内装材・神事用」に使われている。

また、穂は「医療品・嗜好品」に、種は「食品・化粧品・粉・オイル」などに利用されており、衣食住のトータルで活用。

オーガニック生活の必須アイテムとして人気が高く、未来のバイオマス(生物資源)としても注目されている。

日本でも「麻」は古来より衣食住の全てにおいて活用されていた。また現在でも麻の実(種子)は七味唐辛子の一味としてほとんどの人が日常的に摂取している。

2000年以降、医療大麻で合法化進む

麻の実を食すことについては、栄養価の高さから「薬」のような扱いをされていたという資料も多数残っている。

しかし、戦後の1948年以降GHQによる「大麻取締法」によって大麻の花・穂・葉の使用は一切禁止され、現在日本では「危険植物」と認識されている。

1961年には国際的にも「規制植物」として認定されたが、1970年代から規制緩和を求める声が各国で高まり、1966年にはアメリカのカリフォルニア州で合法化されている。

2000年以降はオランダ、カナダ、オーストラリア、スペインなどで医療大麻の合法化が進められている。

「麻」抽出の「カンナビジオール」が人気

近年、アメリカでは麻から抽出される「カンナビジオール」が大人気で、サプリメント・チョコレート・チンキ剤などカンナビジオール入り食品があちこちで見かけられる。ただ、米国ではカンナビジオールの合法性については州ごとに異なる。

麻の実から作られる「ヘンプフード」には、主に加熱ナッツ、非加熱ナッツ、オイル、パウダーの4種類がある。

麻の実には美容や健康維持に欠かせないミネラルが豊富に含まれ、特に日本人が不足しがちな「鉄・亜鉛・マグネシウム」が豊富。

必須アミノ酸や必須脂肪酸が豊富

また必須脂肪酸も多く含まれる。麻の実の脂質は80%が必須脂肪酸(オメガ3、オメガ6)で、バランスも理想的である。また食用油にはあまり含まれていないγリノレン酸も含まれている。

さらに体内で合成できない必須アミノ酸9種類も全て含まれ、植物性たんぱく質としての補給源の役割も果たす。

美容を気にする女性だけでなく、健康を維持したい男性、肌トラブルの多い人などは特に摂取による効果を体感しやすい、と石井氏。

ヘンプフードはナッツであれば、ご飯や納豆、豆腐、サラダ、味噌汁などにトッピングできる。

また、パウダーであればプロテインや飲料に混ぜて摂取できる。またオイルは調味料としてだけでなく、マヨネーズなどの材料としても活用できる。

「大麻」というとイメージの悪い植物になってしまうが、「麻の実」「ヘンプフーズ」として、健康や美容意識の高い人、ナチュラル志向・オーガニック志向の人に特に注目・活用してほしいとまとめた。


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