高分子エラスチン、血圧低下や動脈硬化予防で期待〜第18回ダイエット&ビューティーフェア

2019年9月9日(月)〜11日(水)、東京ビッグサイトで「第18回ダイエット&ビューティーフェア」が開催された。同展示会セミナーより岡元 孝二氏(九州工業大学名誉教授)の講演「ブタ大動脈由来の高分子量ピュアエラスチンによるアテローム性動脈硬化の予防」を取り上げる。


エラスチン、血管や肌の柔軟性に関与

エラスチンは全身に分布し、特に血管や肌の柔軟性に関与している成分である。ゴムのように伸び縮みするのが大きな特徴で、血管の中では特に動脈に多く含まれ、皮膚内ではコラーゲン同士を結びつける役割をする。

他にも、靭帯、肺、子宮など伸縮を必要とする臓器に特に多く分布している。私たちが生きている限りエラスチンは伸縮を繰り返すが、加齢とともにその量は減少し、伸縮活動も鈍くなることが分かっている。

岡元氏は約40年前から米国アラバマ大学医学部でエラスチンを研究し、その集大成として「ピュアエラスチン100」(日本特許、米国特許取得済み)を開発した。ピュアエラスチンは「ブタ由来」「高純度」「高分子」が特徴。

高分子エラスチン、高い生理効果が期待

岡元氏が「ブタ由来」にこだわるのは、ブタのエラスチンを構成しているアミノ酸が人間のそれと最も類似した構造を持つため。ヒトとの親和性が高く、高い効果も期待できるという。

エラスチンだけが持つ特有のタンパク質である「デスモシン」「イソデスモシン」の2種類のアミノ酸がどれだけ含有されているかがエラスチンの効果の鍵となる。

「ピュアエラスチン100」はこの2つのアミノ酸が2.3%以上含有で「高純度」である。

「高分子」については、多くの機能性成分が「低分子で体内吸収率が上がる」ことを利点としているが、高分子で生体内のエラスチンに近いものを摂取した方が高い生理効果が期待できることが分かっている。

高分子エラスチンである「ピュアエラスチン100」については、摂取後1時間以内に消化・吸収され体内で細胞が活性化するペプチドを大量に産生する。

動物試験やヒト試験で、血圧効果作用が確認

エラスチンは血管内では特に動脈に多く分布し、血流にも関与していることが分かっている。

そのため、生活習慣病の中でも主に「高血圧症」から引き起こされる「脳血管疾患・心血管疾患」の予防にも効果を発揮するのではないかという知見が得られている。

高血圧に関係する因子としてアンジオテンシン変換酵素「ACE」がある。ACEは生理活性ペプチドであるアンジオテンシンTを強い血管収縮作用を持つアンジオテンシンUに変換する。

ACEは血圧を下げるペプチド(ブラジキニン)を分解するため、ACEの阻害が血圧降下につながると考えられている。そのためこれまでに複数のACE阻害剤が開発されてきた。

しかしエラスチンの摂取でもACEの活性が阻害され、血圧効果作用を示すことが動物試験やヒト試験で認められた。もちろん副作用なども認められず、安全性も極めて高い。

コレステロールの低下や動脈硬化予防で期待

高血圧や糖尿病は自覚症状のない初期段階であれば、食事療法や運動の介入である程度改善できる。しかし、自覚症状がない時に放置していると確実に動脈硬化が進む。

動脈硬化になると、元に戻す手段や医薬品はなく、進行するほどに心筋梗塞や脳梗塞などの引き金となる。現在、動脈硬化になる前にエラスチンを投与することの有効性が動物試験やヒト試験でも確認されている。

これらの試験では動物(うさぎ)に高コレステロール食を与えても、エラスチンの投与でアテローム性動脈硬化が予防できるだけでなく、悪玉コレステロールの抑制や中性脂肪(トリグリセリド)の上昇抑制、血栓の抑制といった作用も認められている。

エラスチンはこれまで美容面での効果にばかり注目と期待が寄せられていたが、血圧の低下・コレステロールの低下・動脈硬化の予防への活用も大いに期待できるのではないか、と岡元氏。

血管の老化は全身の老化とされるが、血管の老化を防ぐのに欠かせないエラスチンに注目してほしいと話した。


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