そのため、生活習慣病の中でも主に「高血圧症」から引き起こされる「脳血管疾患・心血管疾患」の予防にも効果を発揮するのではないかという知見が得られている。
高血圧に関係する因子としてアンジオテンシン変換酵素「ACE」がある。ACEは生理活性ペプチドであるアンジオテンシンTを強い血管収縮作用を持つアンジオテンシンUに変換する。
ACEは血圧を下げるペプチド(ブラジキニン)を分解するため、ACEの阻害が血圧降下につながると考えられている。そのためこれまでに複数のACE阻害剤が開発されてきた。
しかしエラスチンの摂取でもACEの活性が阻害され、血圧効果作用を示すことが動物試験やヒト試験で認められた。もちろん副作用なども認められず、安全性も極めて高い。
コレステロールの低下や動脈硬化予防で期待
高血圧や糖尿病は自覚症状のない初期段階であれば、食事療法や運動の介入である程度改善できる。しかし、自覚症状がない時に放置していると確実に動脈硬化が進む。
動脈硬化になると、元に戻す手段や医薬品はなく、進行するほどに心筋梗塞や脳梗塞などの引き金となる。現在、動脈硬化になる前にエラスチンを投与することの有効性が動物試験やヒト試験でも確認されている。
これらの試験では動物(うさぎ)に高コレステロール食を与えても、エラスチンの投与でアテローム性動脈硬化が予防できるだけでなく、悪玉コレステロールの抑制や中性脂肪(トリグリセリド)の上昇抑制、血栓の抑制といった作用も認められている。
エラスチンはこれまで美容面での効果にばかり注目と期待が寄せられていたが、血圧の低下・コレステロールの低下・動脈硬化の予防への活用も大いに期待できるのではないか、と岡元氏。
血管の老化は全身の老化とされるが、血管の老化を防ぐのに欠かせないエラスチンに注目してほしいと話した。
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