中高年のための骨と目の機能性素材
〜食品開発展2019セミナー


2019年10月2日(水)〜4日(金)、東京ビッグサイトにて「食品開発展2019」が開催された。同展示会セミナーより理研ビタミン鰍フ講演「骨・睡眠・目の健康に!〜機能性表示対応素材」を取り上げる。


唐辛子の色素、パプリカロテンを開発

みかんやオレンジに含まれる機能性成分「β-クリプトキサンチン(カロテノイド)」。このβ-クリプトキサンチンは柑橘類だけでなく、唐辛子やパプリカ、赤ピーマンや柿にも豊富に含まれている。

理研ビタミンでは長年、天然素材による色素の研究と製造を手がけているが、その技術によりβ-クリプトキサンチンを豊富に含んだパプリカ(唐辛子)色素「パプリカロテン」を開発したという。

パプリカロテンはパプリカ(唐辛子)の果実から得られる色素成分の抽出・濃縮物(カロテノイド)で、カプサンチン、ゼアキサンチン、βカロテン、β-クリプトキサンチンの4つのカロテノイドが多く含まれている。

骨に対する多数の疫学研究

これまでβ-クリプトキサンチンに関する研究は多く行われている。中でもβ-クリプトキサンチンと骨についての疫学研究は多数報告されている。

例えば、国内では「骨粗鬆症リスクの低減」、中国では「腰部骨折リスクの低減」、韓国では「腰部骨量減少リスクの低減」の研究報告がなされている。

ヒトの骨は、常に「分解」と「再構築」が繰り返され、1年で全体の2割程度の骨が生まれ変わる。

骨の「吸収(壊れる)」と「形成(作られる)」のバランスが取れているうちは健康な骨を維持できる。

しかし、加齢などが原因で「骨吸収」ばかりが進み「骨形成」が遅れると、骨密度が低下し、骨が脆弱になり、やがていつ骨折してもおかしくない骨粗鬆症状態になってしまう。

特に女性は閉経により「骨吸収」が顕著に進むため、閉経後の骨粗鬆症をいかに予防するかが、健康寿命の維持で何より大切となる。

パプリカロテン摂取で骨吸収が穏やかに

理研ビタミンの「パプリカロテン」もβ-クリプトキサンチンが豊富なため、骨に対する効果のヒト試験を行なった。

試験では、閉経した女性に「パプリカロテン」のサプリメントを摂取してもらい、骨にどのような影響を与えるかをみた。

40歳以上で、閉経していて骨粗鬆症ではない健康な日本人女性100名を対象に、パプリカロテン群とプラセボ群の2グループに分け、パプリカロテン群には1日20mgのパプリカロテンのオイルサプリメントを24週摂取してもらった。

骨密度の変化を見るために、指標マーカーとして「TRACP-5b」という酵素を用いた。この酵素は破骨細胞に特異的に存在しており、酵素が増えると破骨細胞が活性し骨吸収が進む。

試験の結果、摂取から12週経過したあたりから有意差が出て、パプリカロテン摂取群は「TRACP-5b」が上昇せず、骨吸収が穏やかになった。さらに24週では骨吸収がプラセボ群より有意に低下した。

この試験により「骨形成」には影響がなかったことが確認され、「パプリカロテン」の摂取で、「骨吸収」が緩やかになることにより骨サイクルが整うことが示唆された。

理研ビタミンでは、パプリカロテンに含まれるβ-クリプトキサンチンにより破骨細胞の分化・活性が抑制されるというメカニズムはすでにさまざまな試験によって解明されているため「パプリカロテン」も機能性表示届出などを目指したいという。

クロセチン、強い抗酸化力

また、理研ビタミンとしてすでに機能性表示届出を完了している「クロビット」についても紹介。

クチナシの果実やサフランに含まれる黄色の色素成分である「クロセチン」はβ-カロテンやリコピンと同様に強い抗酸化力を持つ。

理研ビタミンではクチナシの果実から高純度にクロセチンを抽出・精製する技術を確立し、クロセチン製剤「クロビット」として製品化しているが、この製品には主に2つの機能性が確認されている。

1つめが「良質な眠りをサポートする」。2つめが「目のピント調整をサポートする」。いずれも7.5mg/日の摂取で効果が認められるため、機能性表示食品としてはダブルヘルスクレームの取得が可能だという。

中高年の骨や目の健康維持に

クロセチンの摂取で深い睡眠(ノンレム睡眠)が増強し、その指標のデルタパワーが増加、睡眠時の中途覚醒回数が減少、起床時の眠気や疲労感が和らぐことがヒト臨床試験で確認されている。

また、クロセチンには目の血流改善や目の炎症を抑制する働きが確認されている。

クロセチンを摂取した場合、パソコンなどの作業後のピント調整機能の低下が和らぐことがヒト試験で確認されている。

機能性表示食品の中でも、特に中高年は「骨」や「目」の健康維持へのニーズが高い。ぜひ紹介この2つの成分に注目して欲しいと話した。


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