植物ステノン、内臓脂肪・皮下脂肪低減で期待〜食品開発展2019セミナー

2019年10月2日(水)〜4日(金)、東京ビッグサイトにて「食品開発展2019」が開催された。同展示会セミナーより第三化成鰍フ講演植物由来の新しい発酵素材」を取り上げる。


コレステロールの吸収抑制効

発酵による健康食品素材や化粧品素材の受託製造・開発を行う第三化成では、新規発酵素材「植物ステノン」について報告。

植物ステノンは、植物ステロールを微生物発酵させた植物由来の内臓脂肪・皮下脂肪低減素材である。

植物ステロールはシトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロールなど、多種ステロールの混合物で、大豆や菜種から分離精製される植物由来の素材としてよく知られる。

植物性ステロールには「コレステロールの吸収抑制」という機能性がある。

健康食品でも利用され、食経験も豊富で馴染み深い。しかしこれまで植物ステロールに「体内脂肪を低減させる効果」は報告されていなかった。

体内脂肪を低減させる効果

この植物ステロールを微生物発酵させた「植物ステノン」でマウス試験を行った。

標準発育のマウスを「高脂肪食自由摂取」「高脂肪食自由摂取に植物ステノン0.25%」「高脂肪食自由摂取に植物ステノン0.5%」「高脂肪食自由摂取に植物ステノン1.0%」「高脂肪食自由摂取に植物ステノン2.0%」のグループに分類し、それぞれのマウスの体重減少を確認した。

その結果、「高脂肪食自由摂取」のマウスは20%体重が増加した。一方、植物ステノンを追加したマウスはいずれの濃度でも体重の増加が抑制され、特に0.5%加えたものからは有意に体重が減少した。

さらに、皮下脂肪への効果を確認するために、マウスの皮下に植物ステノン(15mg/ml)を2ml塗布した試験を行った。その結果、コントロール群に対して皮下脂肪が約36%減少したことも確認できた。

脂肪分解酵素の活性で脂肪が燃焼

この脂肪減少のメカニズムは、植物ステノンを連続投与することで、カイロミクロン(食物中の脂質を小腸から肝臓へ輸送するリポタンパク質粒子)の分泌が阻害されていることが確認でき、脂肪輸送阻害作用により、脂肪の蓄積が妨げられている。

さらに、脂質の分解を担うβ酸化系酵素の活性・遺伝子の発現量が著しく上昇していることも確認され、この脂肪分解酵素の活性により脂肪が燃焼しやすくなっている。

さまざまな食品への応用が可能

安全性も高く、植物性由来であり、さらに脂溶性粉末で無味無臭であることから、サプリメントとしての活用だけでなく、ドレッシング、食用油、ヨーグルト、アイスクリーム、チョコレート、クッキーなどさまざまな食品への応用が可能。

もちろん元々の植物ステロールが持つ「コレステロールの吸収抑制作用」という機能表示もそのまま利用できる。

今回、「植物ステノン」の新たに見つかった機能の「内臓脂肪・皮下脂肪低減素材」を前面に打ち出し、生活習慣病対策素材として活用することも可能である。

さらに、食品に応用することで「過剰な食事制限が不要」「低ストレスで無理のない生活習慣病対策」といった、これまでにない「食事」を通した生活習慣病対策商品として打ち出すことも可能、と提案した。


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