認知症患者、2025年には730万人突破
梅田氏の専門は「認知神経科学」で、人の高次認知機能のメカニズムの解明をしている。
通常のMRIではなく、ファンクショナルMRIという機械を使うと人間の脳のどの部分が、いつどのように動き活性するか、脳波がどう変動するかなどが分かる。
それを心理学と掛け合わせる。人のさまざまな感情と肉体は連動して動く。心理学において感情の研究は体の研究とも言える、と梅田氏。
日本では高齢化に伴い、認知症患者が増加している。2012年は430万人であったが、2025年には730万人を突破すると予測されている。
また、2030年には認知症にかかる社会的コスト(医療費や介護費など)は21.4兆円に達すると見込まれている。
乳製品、認知機能を改善・予防の可能性
問題なのは、認知症の医薬品による治療が不十分であるということ。先進各国で治療薬の研究開発が進められているがほとんどうまくいっておらず、世界的にも「予防」に力を入れる方向にシフトしはじめている。
認知症予防の研究を行う上で、参考になるのが「久山町スタディ」という疫学調査である。
久山町の住民で60歳以上の非認知症者(n=1,081)を対象としたコホート研究で、牛乳と乳製品摂取量で4つのグループに分け、牛乳と乳製品摂取量による認知症全体、アルツハイマー、血管性認知症の発症リスクを算出した。
その結果、牛乳・乳製品の摂取量が多いグループほど認知症の発症率が有意に低下することが分かった。
米国でも似たような疫学調査があるが、こうした疫学調査からチーズなどの発酵乳製品の摂取が認知機能を改善、または予防する可能性があるのではないかと示唆されてきた。
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