国内では60年以上も食品添加物として使用
アルギン酸エステルは、化学名「アルギン酸プロピレングリコールエステル」の略名で、海藻に多く含まれる多糖類「アルギン酸」を加工して作られた増粘安定剤である。国内では60年以上も食品添加物として使用されている実績がある。
白〜黄白色の粉末で、冷水にも温水にもよく溶ける性質を持ち、粘度のある水溶液に変化させることができる。その粘度は食感に影響を与えない超低粘度のものから高粘度のものまでバリエーションを持たせられる。
pHの低い酸性のものにも溶けるため、ドレッシングや果汁飲料、ビール、発酵食品などpHの低い食品の増粘安定にも使用できる。
また、一般的なアルギン酸と違い、カルシウムを与えてもゲル化しないため、乳製品の増粘安定にも使用できる。しかも粘度低下しにくい。
こうした性質から、サンドイッチ、菓子パンなどのベーカリー、さまざまな麺類、飲料など身近な食品だけでなく、世界各国の加工食品に幅広く利用されている。
アルギン酸エステル、加工食品への使用例
アルギン酸エステルを使うことで加工食品にどのような良い影響がもたらされるか。
1、安定剤としての役割
まずは安定剤として最も利用されているのがドレッシング。アルギン酸エステルは親水性のアルギン酸分子に親油性をもつプロピレグリコールがエステル結合した構造であるため界面活性剤として働くことができる。
アルギン酸エステル自体が増粘効果を持つため、クリーミータイプのドレッシングの安定剤としてキサンタンガムと併用する形でも利用されている。
また、乳酸菌飲料にも安定剤としてよく使用されている。乳酸菌に加えられたアルギン酸エステルは、酸性乳のタンパクの表面に取り憑き、蛋白同士の凝集を妨げることで、凝集・沈殿を防ぐ。
さらにアルギン酸エステルであれば他の安定剤よりも少ない使用量でタンパクの沈殿を防ぎ、粘土は飲料の飲み口に合わせて選択することができる。
2、食感や形成を支える役割
パンの食感において大切なのが「ふんわり」「もっちり」であるが、冷蔵流通するサンドイッチのような加工パンの場合、食感がクチャッとしやすい。
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