平成18年4月7日、ヤクルトホール(東京都港区)で、第27回健康づくり提唱の集い「ポピュレーションアプローチとして食育について考える」(主催:(社)日本栄養士会)が開催された。当日、日本栄養士会会長の中村丁次氏が「食育における管理栄養士・栄養士の役割」と題して挨拶、服部栄養専門学校校長の服部幸應氏が「食育のすすめ--今、なぜ食育が必要か--」と題して講演した。
国民の栄養摂取の偏り、生活習慣病の増加、
食品の安全問題、などが背景に
平成17年7月15日、食育基本法が施行、内閣府に食品推進会議が設置され、今年3月31日には食育推進基本計画が策定された。「食育」とは、「様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てること」(食育基本法より)とされ、「生きる上での基本で、知育、徳育、体育の基礎となるべきもの」と位置付けられている。
こうした背景には、近年「食」に関する情報が氾濫する一方で、国民の食生活における栄養摂取の偏り、不規則な食事、生活習慣病や肥満者の増加、食品の安全問題、食品の海外依存など問題が浮上、「食育」の重要性が問われていた。「食育」の推進により、国民一人ひとりが食品情報に対する適切な判断力を身に付け、健全な食生活を実践することが必要とされた。
中村丁次氏は挨拶の中で、「食事は非常に大事なもの、栄養素の過不足は欠乏症や過剰症を招き、生活習慣病、メタボリックシンドロームの誘引になる」とし、「食育」を国民運動として盛り上げるために、栄養士の役割について、「食教育、栄養教育の専門家として国や地方公共団体と連携をとり、国民へ普及啓蒙活動を行いたい」と述べた。