ソルビトール資化能を持つビフィズス菌はこれまで未発見で、ソルビトールを分解する過程で免疫機能を整える酢酸を、特定の培地において一般的な同種の菌より11倍も多く産生する。
酢酸には感染症予防や過剰な免疫の抑制作用など、人の機能においてとにかく重要な働きがある。また酢酸と同じくヒトの腸内環境に良い働きをする乳酸についても一般的なビフィズス菌ロンガム種(同種)の菌より12倍も産生することが確認されている。
また、乳酸は腸内の蠕動運動や腐敗産物の生産抑制などに欠かせないため、健康効果が非常に期待できる。
これらの特長から、「AuB-001」は菌単体としてはプロバイオティクスとして有効であり商品開発に活用できる。
また、リンゴなどに含まれる天然あるいは人工のものでもソルビトールと同時に摂取できる設計にすることで腸活ブームの中で注目の「シンバイオティクス(プロバイオティクスとプレバイオティクスの両方を含む)」の商品になり得るという。
食品やサプリ、医薬品までさまざまな形で活用
腸内細菌叢や腸内環境はどのような種類の菌がどれくらい住んでいるのかは、人によってそれぞれ大きく異なり個人差が著しい。
そのため現在は、病人と健常者の腸内細菌を比較することが主流である。しかしアスリートは定期的なメディカルチェックの受診や食事や活動量のログデータも膨大にある。
特徴的な被験者であるアスリートの腸内細菌を研究することで特徴的な菌を発見できるのではないか、というのが今回の研究のベースにある仮説で、今後もアスリートの腸内細菌の解析を進めたいという。
新種の菌の発見には会社設立から5年の歳月を要した。AuB-001の国際特許取得はおそらく年内に、商品化は来年が目処だという。
「AuB-001」には培養、量産が可能なことも確認されており、経口摂取できる食品やサプリメント、機能性食品、プロバイオティクス、医薬品や医薬部外品などさまざまな形で活用できる。
今後も新たな腸内細菌を発見し、そこから得た利益はアスリートが所属する競技団体に寄付するというスポーツ支援も構想していると鈴木氏は話した。
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