しかしながら、広告や表示に関しては機能性表示制度とトクホにはほとんど差がなく、トクホと比較すると機能性表示の方が申請から許可まで明らかにスムーズで参入しやすい。そのためトクホではなく機能性表示食品制度参入への企業が増えていった。
実際、2019年は機能性表示食品の届出許可が882件であったが、トクホは22件。今年度トクホはコロナの影響もあるが1桁台が予測されている。市場もやがて機能性表示食品がトクホを追い越す可能性が高いのではないかという声が多い。
トクホ活性化へ、公正競争規約を導入
とはいえ、トクホの制度は世界に類を見ない優れた制度であることは間違いない。国民の健康の維持増進のためにも制度を廃れさせてはいけないと業界全体として考えは一致している。ではどのようにすればトクホが活性化するか。
その取り組みの1つが今回の「公正競争規約の導入」であった。これによりトクホの信頼性がさらに向上することが狙いだ。
一度は断念した「公正競争規約の導入」であったがトクホ取得企業の74%は日健・栄協に加盟している。
まとまった業界に成長していたことや、過去十年以上、広告に関する自主基準の作成や審査会の運用などの実績があったこと、そして範囲をトクホに絞ったことが「公正競争規約の導入実現」をスムーズにした。
また、トクホ活性のためにもう一つ検討されていることが「疾病リスク低減表示の拡大」。これは令和元年度「疾病リスクの低減に関する表示に関わる調査事業」として実際に動いている。
非常に画期的なマーク
具体的には米国では17成分、EUでは14成分が「疾病リスク低減成分」として認められている。これに対し、日本は「カルシウムと骨粗鬆症」「葉酸と神経管閉鎖障害」の2成分のみである。
長寿国日本を支える健康に良い食品(お茶、海藻、魚油、大豆タンパク質など)が疾病リスク低減トクホの成分の候補として検討されている。
「公正競争規約」により誕生したトクホ協議会の事業のうち、官公庁と連携することや新たに誕生した公正マークを普及することは特に重要と考えている。
これまでは一律トクホマークのみであったが、新しいマークは保健用途の領域も表記可能となっており、非常に画期的なマークとなっている。
現在は150社が加盟しているが、会員増の努力により安定的な運営を続けることでトクホを今一度盛り上げていきたい。
また、機能性表示食品への取り組み、具体的には「自主的適正審査の実施による実績作り」「消費者庁及び、公正取引委員会との連携強化」「会員組織作り」などにも力を入れていきたいと話した。
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