一番大切なことは「期待する効果が、期待通りに得られる機能性成分である」ということであり、腸内に取り込まれてもそれ以上代謝されることがない状態の機能性成分が求められている。
また、元の成分よりも機能性がより高いこと、あるいは元の成分よりも吸収性が高いこと、などがこれからの機能性成分として求められている。
そこで、一例として腸内代謝物のウロリチンを紹介した。
ザクロ、ベリー、ナッツなどに含まれるエラジタンニン(天然フェノール系の抗酸化物質であるエラグ酸)には、さまざまな健康機能があることが報告されている。
これは腸内細菌によりエラグ酸から生成されるウロリチン類(URO -A)に由来する。エラギタンニンは胃の中で加水分解されてエラグ酸となり、さらに腸内細菌によってウロリチンが作られる。
ウロリチンにマイトファジー効果
ウロリチンにはミトコンドリアのオートファジー(マイトファジー)効果が確認され、世界初の機能として注目されている。
マイトファジー効果とは、細胞内エネルギー産生を担うミトコンドリアのリフレッシュ効果で、線虫においては寿命延長効果も確認されている。
他にも、ウロリチンにはインスリン感受性の改善、認知障害の改善、抗酸化活性、腸管バリア機能の改善、肌に対する糖化抑制効果、骨に対する破骨細胞分化抑制、抗肥満効果などさまざまな機能が報告されている。
ただし、エラグ酸からURO -Aを作る腸内細菌が弱い人やまたは存在しない人は、同様の健康効果を期待することができない。
実際、ウロリチンを製造できる人の割合は、エクオールが体内で合成できる人と同様に50%程度である(ダイセル社の調査)。
しかし、最初からウロリチンという代謝された状態で製品を提供できれは、体内で作れない人にもある程度の効果が期待できる可能性が高まる。これらの研究成果を生かし、来春には食品素材としてウロリチンを販売する予定だと報告した。
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