活性酸素の発生が疲労の元
疲労で健康が損なわれるメカニズムについてはこうだ。「精神」「運動」「感染」のいずれかにより「細胞が過活動状態」になると、細胞内で大量にエネルギーが生産・消費され、生体内で処理できない活性酸素が発生する。
これが細胞を損傷させることで、慢性的なサイトカインが生じ、「酸化」「修復エネルギーの低下」「炎症」が起こる。このことが疲労であり、健康の脆弱化のメカニズムであることもわかってきた。
また細胞を過活動状態にしがちな刺激がいわゆるストレスであるが、このストレスにも「精神的ストレッサー」「身体的ストレッサー」「化学的ストレッサー」「物理的ストレッサー」「生物学的ストレッサー」がある。
これらのストレッサーを緩和させるさまざまな「抗疲労商品・疲労ソリューションアイテム」が機能性表示食品も含め、さまざま開発がなされている。
パラミロン、機能性表示食品として受理
こうした中、パラミロンが注目されている。パラミロンはユーグレナ属のみが細胞内に貯蔵する物質で、β-1,3-グルカンの結晶物質のことである。
すでにさまざまなヒト臨床試験が行われていて、例えば、健康な成人200名を対象に、ユーグレナグラシリスEOD-1株由来パラミロン350mg含有食品を4週間摂取してもらった(ランダム化二重盲検プラセボ対象並行群間比較試験)。
その結果、パラミロン摂取群の方が優位に「日常生活での歩行数の増加」「外出時間の増加」が見られ、「身体的疲労感の軽減」についても優位さが報告された。
また、同じく健康な成人66名を対象に行ったヒト臨床試験で、疲労感の改善についてVAS試験や採血(酸化マーカー)、自律神経測定で調査したところ、「疲労負荷作業の能率低下の抑制」「自律神経活動のバランスの早期改善」「潜在的注意力の維持」「抗酸化力の向上」などが確認できた。
他にも、パラミロン研究において「内臓脂肪低減作用」「慢性腎障害抑制作用」「粘膜免疫向上作用」、さらにユーグレナとしては「認知機能向上」といった研究成果も報告されている。今年の6月には機能性表示食品として「ミカレアのパラミロン」が届出受理された。
コロナ禍で慢性的に疲労が蓄積
コロナにより人々が慢性的に疲労を蓄積している状態が続いているが、それを軽視せず、家庭やオフィスで疲労を簡易に計測できるようにすることが大切である。
疲労度を数値で自覚することで、運動メニューや食事メニュー、休養メニューを個別に提供するような組織の樹立なども現在手掛けている、と渡辺氏。
特にコロナの感染データについては集計がなされているものの、コロナの影響による健康被害に関するデータについては断片的である。メンタルヘルスを中心に健康被害が大きいことは明らかだが、そこまで手が回っていないのが現状だ。
コロナ禍時代の健康計測として「疲労測定」や唾液中の「sIgA」を指標にした「免疫力測定」などの環境整備も推進していきたいとした。
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