コロナ禍にニーズの高い食材とは
〜食の未来技術フェア2020


2020年11月25日(水)〜26日(木)、北とぴあにて「食の未来技術フェア2020」が開催された。この中から、藤田康人氏(潟Cンテグレート)の講演「コロナ禍で変わる「食」と「カラダ作り」の今後のトレンドと注目食品素材」を取り上げる。


Googleで「免疫力」の検索、対前年の5〜7倍に

これまでにキシリトールブームや美魔女ブームなどを仕掛けてきた潟Cンテグレート代表の藤田氏。コロナの影響で生活者のトレンドがどのように変化しているかなどについて解説を行った。

まず、人々は以前よりも「健康」を意識するようになっている。Googleでも「免疫力」の検索ニーズが前年の5〜7倍になっており、さらに免疫と関連して複合的に検索されているキーワードに食に関するものが多い。

つまり、人々は「食を通じて内側から健康を維持したい」「普段の食事で健康や免疫を高めたい」という意識を強く持っているという。

実際の購買については、発酵食品の売り上げが堅調に伸びており(前年度20%アップ)、発酵食品=免疫力というイメージが消費者に定着している。

また、機能性表示食品で初めて「免疫」が認められたと話題のプラズマ乳酸菌の商品にも注目が集まっている。

「コロナ太り」が話題に

確かに、免疫ニーズは高まっている。「我が社も免疫で機能性を取得したい」という相談案件が多く持ち寄られている。ただ、キリンのケースと違い、免疫で取得するのは難しいのではないか、と藤田氏。

一方、コロナの感染者が爆発的に増えているアメリカではビタミンC、D、マルチビタミンが売れに売れ、日本とは違ったトレンドがあるという。

また日本では、コロナにより「コロナ太り」も話題になっている。あるインターネット調査によると、20代〜40代の男女600名の50%がコロナ太りを実感しているという。

この1年に行ったダイエットについての調査では、第1位が「糖質制限ダイエット」という結果で、同ダイエットの知名度が非常に高くなっている。

とはいえ、なぜ糖質制限ダイエットに効果があるのか、そのメカニズムについてはきちんと答えられる人が多くない、と藤田氏。

糖質制限ダイエットで副作用報告

糖質制限は2つのアプローチで減量効果を発揮する。1つは糖質制限することでインスリン分泌が抑制され、体脂肪の蓄積が抑えられる。

2つ目は糖質制限によって体内の脂肪がエネルギーに変換されることで脂肪が燃焼し体脂肪が減少する。

この2つ目の経路のスイッチをオンにする物質が「ケトン体」で、糖質を制限すると体内に肝臓からケトン体が産生され、体内に蓄積した脂肪がエネルギーに変換されるようになる。

通常、糖質の摂取目安量は1日300g(日本人の食事摂取基準)だが、ケトン体を出すことを目的とした場合、糖質摂取の上限量は1日の60gまでとされ、かなり厳しい糖質制限をしなければならない。

他にも、糖質制限ダイエットをすることで集中力低下、無気力、便秘、トラブル、冷えなど副作用の報告も少なくない。

MCTオイル、ケトン体を増やし脂肪を燃焼

米国では糖質制限やロカボはすでにダイエット法として定番化しているが、トレンドとしては縮小傾向にある。

それより、どうすれば常に体内にケトン体を発生させられるか、ということをテーマにした食事や食品が人気になり始めるている、と藤田氏。

例えば、ケトン体を増やす唯一の成分としてMCTオイルが注目されている。

MCTは、母乳やココナッツに含まれる天然成分で、無理な糖質制限をしなくても体内のケトン体を増やし、脂肪の燃焼に働きかける機能が報告されている。

体内でケトン体が増えるほどケトン体スイッチがオンになり、無理な食事制限をしなくても自然に体質改善につながり、痩せ体質になると考えられている。

コロナ禍にニーズの高い食材

普段の食事(1日の糖質摂取目安量は300g)はそのままに、1日10gのMCTオイルを摂取することで、無理なく緩やかに燃焼体質に近づく。

このことは、ストレスの多いコロナ禍で、「食べたいものを食べて健康的に痩せたい」と考えている消費者ニーズにも合っている、と藤田氏。

日本ではまだMCTオイルのトレンドは起きていないが、MCTオイルには他にも認知症予防など脳機能に対する効果のエビデンスも出ている。

乳酸菌や発酵食品、ビタミンC、Dに加え、MCTオイルもコロナ禍にニーズの高い食材の一つになるのではないか、と話した。


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