「食べ過ぎない」がケトン体値を上昇
そもそも日本とアメリカでは食に対する価値観も習慣も違い、日本人の多くは特に女性において「痩せ」が世界的な問題であり、肥満大国のアメリカとは状況が異なっている。
日本人は元来「一汁三菜」や「腹八分目」といった高い食の健康感を持った民族である。例えば日本に逆輸入された「マクロビオティック」も明治期に提唱された「玄米菜食」の考え方である。
「ファスティング」も1990年代前半に西勝造が確立した「西式健康法」の考え方であり、いずれの食事法もいわゆる「ゆる断食」や「腹八分目」と同等で、日常の食事を少しだけ調整し日頃から「食べ過ぎない」ことで「健康が維持できる」という考えに基づいている。
今、米国では「月に5日間だけ少食にする Fasting Mimicking Diet」といいう方法も話題だが、これも1ヶ月に5日間だけ連続して通常の1/3〜1/2カロリーにすることで、コレステロール値や炎症の値が優位に低下するというもので、ケトン体値の上昇も確認できる。
摂取カロリーの減少、ケトン体回路が活性
また1980年代に米国立老化研究所と米ウィスコンシン大学で行われたアカゲザルのカロリー制限の報告も、摂取カロリーを減らすことで見た目の老化が遅延し寿命が延長する可能性があることを示唆したもので、これもケトン体と関係している可能性が高い。
つまり、無理な糖質制限やロカボダイエットなどを行うのではなく、食を大切に思う日本人ならではの「腹八分目」や「一汁三菜」、「きちんとお腹が空いてから食べる」「週末断食」「プチ断食」「朝食断食」といった昔からある日本人の健康的とされる食事法をゆるく実践するだけでも、自然にケトン体回路が活性し健康長寿に貢献する可能性が十分に高いのではないか、と西沢氏。
もちろん、ケトン体の材料となることがわかっているMCTオイルなどを例えばドレッシングなどで無理なく取り入れるのも有効であろう。
適度な運動、食べ過ぎない食事でコロナ禍を乗り切る
しかし、コロナが収束しない現段階で無理なカロリー制限や糖質制限を行うことは免疫を低下させるリスクや、ストレスによる健康被害を招く恐れの方が高い。
1ヶ月の自然な運動(毎日30分の有酸素運動)で、肝臓でのケトン体生成量が増え脳由来神経栄養因子(BDNF)が増加するといったエビデンスも出ている。
コロナ太り、コロナ鬱、といった言葉も報道されているが、やはり適度な運動も免疫の維持に不可欠である。
適度な運動、食べ過ぎない食事など、日本人がもともと大切にしている健康法をコロナ禍の今こそ見直す良いタイミングではないか、と話した。
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