免疫関連の需要が拡大
機能性表示食品制度がスタートした2015年からサプリメント市場は緩やかに右肩上がりをしている。
特に2017年にはインバウンド需要の高まりと、機能性表示食品の増加で需要を伸ばし9,125億円市場にまで成長した。
しかし今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、サプリメントを販売するデパートなどの直営店の休業、渡航制限によるインバウンド消費の減少、また昨年からより厳しくなっている広告表示の行政処分の増加など、マイナスの影響が大きかった。
一方で、室内でスポーツを楽しむ人向けのスポーツニュートリション・コロナ太り関連素材、乳酸菌やプロポリスなど免疫関連の需要は拡大し、前年度比100.6%の9,483億円という微増の売り上げで着地しそうだ。
ちなみに明らか商品は前年度比102.5%の4,793億円、ドリンク類は前年度比100.1%の1兆206円で着地する見込みだ。
明らか食品は機能性ヨーグルトの需要が伸びた。ドリンク類はコンビニや自動販売機の利用が落ち込み、成長がほとんどみられなかった。
プロテイン、コロナ禍で売上げが急伸
サプリメント市場では「生活習慣予防」のヘルスクレームが最も売り上げの高い分野だが、コロナ禍においては、コロナ太りに関連し「血糖値対策」や「高血圧対策」といった需要が若干伸びた。
また美容を目的としたダイエットやマルチビタミン関連はコロナによって需要を伸ばした側面もあるが、昨年度まではインバウンド消費が大きくプラスに関与していたため、今年の成長という視点で分析すると微増にとどまった。
コロナ禍で最も売り上げを伸ばしたのはスポーツサポートで、特にプロテインが高成長となった。
一方、肝機能対策やストレス対策、睡眠サポートなどのカテゴリーはコロナにおける行動変容に伴い、大きく売り上げを伸ばすことはできなかった。
生活習慣病対策商品にも追い風
「生活習慣病カテゴリー」をより細かく分析すると、その中でも4割近い売り上げを占めているのが「DHA/FPA」で、青魚成分が好調だった。
青魚成分については中性脂肪対策だけでなく、記憶力の維持について認知度が高まってきた背景もあるのではないか。
他にも「サラシア」や「サーデンペプチド」などが安定的な市場を維持した。
コロナ禍において「基礎疾患」を減らす努力をすべきという報道や、感染予防に伴い「医療機関への足が遠のいた」という行動変容が、セルフメディケーションへの意識を高め、「生活習慣病カテゴリー」商品への追い風になった可能性が高い。
・
・