フレイル(筋力低下)対策に活かせる素材〜健康博覧会2021セミナー

2021年1月27日(水)〜29日(金)、東京ビッグサイトにて「健康博覧会2021」が開催された。同展示会セミナーから、蒲ム原の講演「フレイル対策に生かせる林原素材〜筋肉のための美味しい食事」を取り上げる。


2020年度版「日本人の食事摂取基準」、高齢者はタンパク質摂取を多めに

高齢化社会が進む中、どのように健康を維持していくか、特に高齢者の健康維持で食事のポイントは「タンパク質摂取」に鍵があると考えられている。

2020年度版「日本人の食事摂取基準」の変更箇所のひとつに「タンパク質摂取目安量」があるが、男女ともに50歳以上で、これまでより多めのタンパク質の摂取が明記されている。

これはフレイル対策の一環であり、健康寿命の維持増進に「タンパク質」が不可欠だからだといえる。

タンパク質については多くの日本人が「夕食にまとめて」摂取する傾向にあるが、やはり3食に分散して摂取する方が体内で筋肉の維持や合成に役立つといった研究報告も多数ある。

いつ・どのようにタンパク質を摂取するかが摂取量と同様に課題となる。

そこで林原鰍ナは、澱粉から作られた糖質「トレハ(トレハロース)」と安定型ビタミンCの「アスコフレッシュ」を紹介。

トレハロースでタンパク質摂取を美味しく手軽に

トレハロースとは、とうもろこしなどのでんぷんに酵素を作用させて作られた多機能糖質で、砂糖と同じ二等糖類。

甘味度は38%と低甘味で、切れ味がよく、非還元性で着色しにくく、耐熱・耐酸性が強いため幅広い食品に利用できる。

例えば、タンパク質に加えると変性抑制効果が働くため、全卵であれば凝固が抑制させて「とろとろ」のスクランブルエッグを作ることができる。

唐揚げに使えば、肉汁を閉じ込める効果があるため時間がたってもジューシーな食感が損なわれない。親子丼作りに用いても、半熟でとろっとした仕上がりを簡単に作り出すことができる。

またトレハロースを加えることで、冷凍耐性が向上するため、冷凍食品に添加しても組織が安定し、解凍後も食感や風味が保たれた状態で美味しく食べられる。

話題の大豆ミートなど植物性タンパク質との相性もよく、むしろ植物性タンパク質特有のパサツキや味気なさをトレハロースを配合することでカバーすることができ、柔らかい食感や滑らかな舌触りなどを増すことができる。

トレハロースには「選択的水和」という特徴的な作用があり、タンパク質表面の水分子を安定化させるためタンパク質を変性させない。

他にも、発色を向上させる、酸味をマスキングする、などトレハには食材を引き立てる効果が多数あり、タンパク質を摂取する際の味やバリエーションの向上に多いに役立つ。

フレイル対策でビタミンCが注目

また、「アスコフレッシュ(安定型ビタミンC)」について、そもそもビタミンCにはさまざまな生理作用があり、 私たちの生命維持には不可欠な栄養素であることはよく知られている。

しかし、近年、新たな知見として「運動機能の維持や骨格筋量の維持増強にもビタミンCが必須」ということが分かり、フレイル対策にもビタミンCは必須栄養素としても最注目されている。

アスコフレッシュが他のビタミンCと異なる点は、林原の独自の酵素技術でアスコルビン酸にグルコースを結合させ非常に安定していること。

そのため熱・光・酸素・アミノ酸・鉄などによる酸化や分解を受けにくく、従来のビタミンCでは組み合わせが難しかった素材とのコラボレーションが可能になっている。

筋肉の合成に、鉄やビタミンC

例えば、アミノ酸との組み合わせとしてメチオニンと組み合わせると、通常のアスコルビン酸では異臭が発生するが、アスコフレッシュを添加すると異臭が発生しないだけでなく、色調変化もなく、安定性にも優れている。

筋肉の合成にはタンパク質のほかに「鉄」も必要だが、鉄(特に非ヘム鉄)は体内への吸収率が悪く、効率的に吸収させるにはビタミンCとの摂取が大切とされている。

アスコフレッシュを利用すると、鉄独特の風味がマスキングされ、吸収率が高まった鉄配合商品(飲料やサプリメントなど)が作れる。

特に後期高齢者は、タンパク質とビタミンC摂取の低下によって、筋力低下・骨折のリスク増・認知機能低下・免疫力の低下などが生じることが懸念されている。

タンパク質とビタミンCをより美味しく上手に手軽に摂取できるようにトレハやアスコフレッシュなどの素材を活用してほしいと話した。


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