さらにインスタント食品や塩分過多の食事などでもマグネシウムが摂取しにくくなる。
一般的に処方される医薬品、例えば利尿剤、副腎皮質ホルモン、経口避妊薬、ステチン(痰を出やすくする)、アミノグリコシド(コレステロール値調整)、降圧剤、などもマグネシウムの吸収を阻害する。
また、一般的な合成洗剤にもマグネシウムを阻害するという報告もある。つまり、多くの現代人はマグネシウム不足の可能性が極めて高い、と瀬尾氏。
加齢により血中マグネシウムが低下
マグネシウム不足で起こる症状には、頭痛・疲労・不眠・筋肉・鬱・便秘・骨粗鬆症・砂糖依存症・胃酸過多などがある。
しかも、成人や高齢者だけでなく、近年はこれらの症状が小学生や中学生にも起こっていて、小さい子どもであってもマグネシウム不足が深刻化している。
子どもに多い喘息の症状も気管が痙攣している状態であり、マグネシウム製剤の投与で症状が落ち着くこともある。
近年はマグネシウムと糖尿病に関する論文も出ている。マグネシウムのサプリメントを使った群では対照群と比較して、指標となる「ヘモグロビンA1C」の値が低下したという報告がある(250mg/day3ヶ月の使用)。
他にも、日本の調査で、食事からマグネシウムを摂取している量が多い群の方が虚血性心疾患発症が30%程度発症リスクが低下すると報告している。
そもそも加齢により血中マグネシウムが低下することがわかっている。また、それによってさまざまな炎症を起こす物質が増えることもわかっている。
全身の炎症こそが、老化や病気の原因ともいえるし、特にサルコペニア傾向にある人はマグネシウム量が少ないので、サプリメンから摂ることも選択肢の一つではないか、と満尾氏。
ビタミンDの代謝にマグネシウムが不可欠
今、海外では新型コロナウイルス対策にビタミンDが非常に注目されている。
新型コロナウイルスの感染予防だけでなく、重症化の予防、死亡率の低下にもビタミンDが有用ではないかという研究報告がいくつも発表されているが、ビタミンDを体内で代謝させるにもマグネシウムが不可欠である。
サプリメントからビタミンDだけを摂取してもマグネシウムが不足していれば体内で活性しない。そのため、ビタミンD摂取を考えるのであればマグネシウムにも注目すべきだ、と満尾氏。
マグネシウムはほうれん草などの緑の濃い葉野菜やナッツ、アボカド、チョコレート、魚(小魚)、バナナ、納豆などに多く含まれている。
何か体の不調が現れていたら、食事の見直し、マグネシウムの補充を考えてみても良いのではないか、とまとめた。
・