次世代型ヨーグルトで腸内細菌の代謝をコントロール
腸には免疫担当細胞の60〜70%が集っており、私たちの健康を左右している。腸内細菌叢を整えるためにヨーグルトがよく知られる。
さまざまな機能性ヨーグルトが登場しているが、従来型のヨーグルトは乳酸菌やビフィズス菌などのプロバイオティクスを摂取することで、腸内細菌叢に働きかけ、腸内の有害物質の吸収を阻害するというメカニズムで健康効果があるとされている。
しかしそのメカニズムについてはわからないことも多い。そこで松本氏らの研究チームが考えているのが「次世代型ヨーグルト」だという。
次世代型ヨーグルトは腸内細菌の代謝をコントロールすることで、生理活性物質(腸内細菌の代謝産物)までもコントロールできないか、という考え方に基づいている。
長寿者はポリアミン血中濃度が高い
サイエンスの分野で近年注目されている物質に「ポリアミン」がある。ポリアミンはアミノ基が2つ以上結合した脂肪族炭化水素の総称で全生物に普遍的に存在し、生命活動の本質に関与している。
体内ではDNAの修復や、アミノ酸・タンパク質の合成、細胞の分化や増殖、酵素活性のレセプター発現などにも関与し、細胞の正常化の維持には特に欠かせないことがわかっている。
ポリアミンは加齢とともに減少し、特に60歳〜80歳の間に多くが失われてしまう傾向にある。
しかし、百寿者と呼ばれる健康な100歳はポリアミン血中濃度が高い傾向がある。炎症抑制や遺伝子保護、細胞内のゴミ掃除(オートファジー)などに不可欠なポリアミンは、健康や寿命の鍵となる物質なのではないかと、近年盛んに研究がされている。
まさに「代表的アンチエイジング成分」ともいえるポリアミン。腸内で産生されていることもわかっているが、腸内細菌叢の代謝産物には個体差があまりに大きく、制御することは極めて難しい。
しかし腸がポリアミンを自動的に産出する「ポリアミンタンク」のような役割を果たせば、私たちの健康が増強されることが期待できる。
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