免疫は高めすぎると暴走することがある。例えば、COVID-19の重症化とは、過剰な免疫の活性(免疫細胞の暴走によるサイトカインストーム)による急性呼吸窮迫症候群である。
つまり、免疫が弱すぎるのも困るが、免疫が強まりすぎて暴走状態になると感染症の重篤化にも繋がる。
そのため、必要な免疫力を維持しつつ、暴走させない「整った状態」にすることが肝要である、と國沢氏。
個人差のある腸内細菌などにより影響
オメガ3脂肪酸が多いαリノレン酸には抗アレルギー作用があることが確認されており、体内動体や機序も解明されてきている。
しかし、同じ物を摂取しても効果は人により異なる。これは個人差のある腸内細菌などに影響されるためで、腸内細菌の代謝活性を指標にした個別の栄養指導などが実装されることが期待されている。
現在、健康な人を対象とした生活環境と腸内細菌叢に関するコホート研究が進められており、巨大なデータベースの構築も進められている。
日本人の腸内細菌は3パターン
日本人の腸内細菌は大まかに3パターンあるとされる。
ルミノカッカス型(雑食):パクテロデス型(肉食):プレボテラ型(草食)の割合が5:4:1とされるが、大阪の場合3:6:1という特徴があり(大阪でコホート研究に参加した100名のデータ)、実際に野菜の摂取量が全国平均より男女ともに低いこともわかってきた。
腸内細菌がどのタイプだからといって病気にかかりやすい、といった特徴があるわけではないが、食事の影響で腸内細菌のパターンが変わる可能性はある。
また腸内細菌叢のパターンによって効果的な食事や効果的な医薬品が異なってくる可能性も大いにあると、國沢氏。
腸内環境を基軸にした健康科学の発展と新規ヘルスケア産業の創出は産・官・学で期待されている。
健康社会の実現に不可欠と考えられているため、引き続き多くの人々の協力を得ながら多角的に研究を続けていきたいとした。
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