健康食品、問われる安全性やエビデンス

平成19年1月30日(土)、東京医科大学病院・臨床講堂(東京都新宿区)で、「日本健康科学学会シンポジウム」(主催:日本健康科学学会)が開催された。当日、信川益明氏(日本健康科学学会会長)、林裕造氏((財)日本健康・栄養食品協会理事長)らが、健康食品の現状や課題について報告した。

有効性や安全性を消費者に正しく伝えるシステム作りを

冒頭の教育後援では、林裕造氏((財)日本健康・栄養食品協会理事長・日本健康科学学界理事)が「健康食品の安全性確保の方法論−食品安全対策におけるリスクアナリシスの実際―」と題して講演。

平成15年7月1日に施行された食品安全基本法により食品安全の確保にリスクアナリシスの手法が導入され、健康食品についても同基本法の立場から安全確保の対策を考える必要があると強調した。

また、健康食品の安全性の確認について、有害性の発現がなく、健康の保持・増進への有用性がみられる摂取条件を確認すること、など5つの条件を挙げた。

「健康食品の現状と課題および評価方法」(日本健康科学学会会長 信川益明氏)では、安全性評価の具体例を示しつつ、業界団体による安全性と有用性を担保する新しい制度を早急に作るべきと強調。
評価方法については、その要素としてインプット、プロセス、アウトプットの3つの方式と多元的な評価基準があることを具体的に解説した。

「健康食品の安全性の基準に関する提言」(健康と食品懇話会企画推進ワーキンググループリーダー 藤井幹夫氏)では、健康食品が法律上の定義も曖昧であるばかりか、なかにはエビデンスを一切得ることなく、有効性のイメージのみを強調して販売されている商品や、安全性が疑問視される商品も市場に溢れている現状を指摘。
将来は、安全性や有効性に関する情報が消費者に正しく伝えられ、消費者がこうした正確な情報に基づいて商品を選択できるようなシステムを作り上げることが理想であり、そのために健康と食品懇話会として健康食品の安全性に関する自主基準の作成に着手するとした。

「健康食品の安全性評価の具体例―コエンザイムQ10の場合―」((財)日本健康・栄養食品協会コエンザイムQ10食品専門部会長 福富直樹氏)では、コエンザイムQ10が数多い健康食品のなかでも医薬品出身という特異な履歴を持ち、極めて安全性の高い安心して使用できる素材であることに触れた。

また、専門部会として、安全に摂取できる上限量として300mg/day との結論を厚生労働省に報告し、学術委員会からこれを指示する旨の結論が出されていることも付け加えた。

「諸外国における栄養表示と健康強調表示」((財)日本健康・栄養食品協会特定保健用食品部技術部会長 土田博氏)では、2004年に刊行されたWHOの「栄養表示と健康強調表示〜世界的な制度の現状」を研究した成果として世界の動向を紹介した。

「諸外国におけるGMP(Good Manufacturing Practice)」(日本健康食品規格協会理事長 大濱宏文氏)では、品質保証の手段であるGMPの意義が製品開発の段階で確認された安全性と有用性を、流通する個別の製品のすべてに確保することである、と結論付けた。

「東京都における健康食品の安全性に向けた取組―「健康食品を安全に利用するポイント」の普及に向けて」(東京都福祉保健局健康安全室副参事 古田賢二氏)では、健康食品との関連が疑われる健康影響(被害)原因の分類と、健康食品を安全に利用するポイントについて、具体例を挙げ解説した。


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