BDNFは65歳以上の高齢者においては加齢とともに減少することがわかっている他、うつ病やアルツハイマー型認知症などの疾患においても脳内のBDNFが減少していることがわかっている。
記憶や学習など認知機能を促進させるにはBDNFが欠かせないと考えられるが、BDNFはこれまで運動によって上昇することが報告されているのみで、食によってBDNFが増加するというのはインパクトのある研究成果であった、と大澤氏。
カマンベールチーズ、BDNFが上昇
他にも、新しい研究成果として高カカオチョコレートを摂取したグループにおいて排便回数の増加効果が見られた研究データについても紹介。
高カカオチョコレートにのみ含まれているカカオプロテインが人の便通を改善している可能性が示唆されている。ちなみに認知症の予防についてはカマンベールチーズが有効かもしれないという研究が期待を集められているという。
カマンベールチーズを摂取することで、やはりBDNFの上昇が見られることを桜美林大学と東京都健康長寿医療センター、明治の共同研究によって発表されている。
アーモンド、肥満や動脈硬化を予防
また、アーモンドはスーパーフードとしての価値も高まってきており、第3のミルクと呼ばれるアーモンドミルクも新たなマーケットを生んでいる。
栄養学的には食物繊維、ポリフェノール、ビタミンE、オレイン酸、ミネラルなどが豊富に含まれている。すでに疫学研究ではアーモンドの摂取により肥満や動脈硬化の予防になることも報告されている。
高カカオチョコレートとアーモンドを一緒に摂取する相乗効果によってさらに便通改善に効果があることも報告されている。
アーモンドチョコレートやマカダミアンナッツチョコレートは人気商品だが、今後さまざまなナッツとの組み合わせや、新たな食品素材との組み合わせを研究することは新たな商品開発につながるかもしれない、と大澤氏。
実際に欧米では、オレンジピールチョコレートが大人気である。オレンジピールはチョコレートの脂肪と摂取することでカロテノイドの吸収が高まることがわかっている。
赤ワイン、高い抗酸化作用や機能性
赤ワインについては、豊富なポリフェノールが含まれ、高い抗酸化作用や機能性が次々に明らかになっている。
特に認知機能の保護、抗腫瘍活性、動脈硬化予防、糖尿病改善作用など多くの研究報告があり、今も研究が続けられている。
赤ワインの研究についてはアントシアニンが有効なのか、あるいはレスベラトロールの方が有効なのか、などこれからまだまだ研究していくべき点が多い。
上手に活用すれば高い健康効果が期待できる嗜好品の1つだといえるだろう、と大澤氏。
またアルコール摂取量が増える懸念があるが、高カカオチョコレートやアーモンド、アーモンドチョコレートやオレンジピールチョコレート、カマンベールなど、美味しさ的にも相性のいい機能性の高い嗜好品とうまく組み合わせることで、飲み過ぎ予防の提案ができるかもしれない。
いずれにせよ嗜好品にはまだまだ大きなマーケットチャンスがありそうだ、とまとめた。
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