一方で、「プラントベースを食べない人」に理由を聞くと「味や食感が好きではない」と答える人が32%、さらに「本当に健康に良いのか不安」と答える人が23%いる。
プラントベースに乗り出す企業はこの2つのポイントをしっかり考え乗り越える必要があるのではないか、と田中氏。
特にこの2つのポイントは日本でプラントベースがそこまで流行らない理由の参考になるかもしれない。
例えば、日本のプラントベース食の代表的な「味噌」や「納豆」「豆腐」「高野豆腐」などは味も美味しく、作りもシンプルで、過剰に加工されたものを選ぶより安心安全だ。
また、特定の信仰をしている人を除き、欧米の人たちもやはり食に「美味しさ」や「楽しみ」を求めているため、100%プラントベースが良いと考えている人は全体の25%程度で、ちょっとプラントベースといったレベル、つまりハイブリットを望んでいる人の方が多い(36%)。
つまり、日本では当たり前の豆腐を使ったハンバーグや玉ねぎが半分近く入ったハンバーグはまさに「ハイブリットプラントベース」といえる。
そのため世界は日本を気にしているし日本から海外に展開するのに十分な価値がある。
植物性プロテインが市場を牽引
プラントベースの原料としては植物性プロテインが市場を牽引している。
ただ、単純に原料がプラントベースであればいいということではなく、原材料のトレーサビリティができたり、アップサイクル(従来の廃棄部分の有効活用)などプラスアルファの付加価値を訴求しなければ生き残りは厳しくなっている。
また、製造するにあたり農薬や遺伝子組み換えの不要な海藻やそら豆などの原料も注目されている。
フードサービスとしてはバーガーキングやTGIフライデーなどがすでにプラントベースの商品展開をはじめているが、今年はマクドナルドも大きな仕掛けをしてくるのではないかと期待されている。
しかし、いずれもベジタリアンやヴィーガンに対応するレベルではなく、ハイブリットプラントベースがキーワードである。
また、朝食だけ、土日だけ、などプランドベースを持続可能なライフスタイルとして提案するのも一つではないか、と田中氏。
中国でのプラントベース市場の拡大が著しい
アジアでも日本を除きプラントベースのトレンドがあり、特に中国での市場拡大が著しい。
中国では積極的に健康的なものを選ぶ姿勢の「フレキシタリアン」をターゲットにした商品が増えている。
大豆やとうもろこしを原材料として積極的に活用しているだけでなく、魚もプラントベースでの開発を手がけている。
ただ、プラントベース拡大の一方で、賢くなっている消費者からは「プラントベースは健康的ではないのでは?」「培養肉は安全なのか?」「最先端技術のものを食べることは健康なのか?」といった声も上がっている。
特にプラントベースに反対する声は農畜産業のさまざまな団体から出ていて「チーズ」や「ミルク」という言葉をプラントベースに使わないで欲しいという要望や、また国によっては紛らわしい言葉の使用不可を法律で義務付ける動きも出てきている。
さらに、子どもたちに「肉」や「乳製品」をどのように定義し伝えていくのか、という議論も起こっている。
企業としては未来にどのような価値観を引き継いでいくのかも大事な課題であり、本当の意味でのサスティナブル、SDGsを訴えられる商品でなければ、プラントベースというだけでは評価できない時代にまで突入しているのではないか、とまとめた。
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