アーティチョークとベルガモットの効果
〜食品開発展オンラインセミナー


2021年7月26日〜8月6日、Web配信にて「食品開発展オンラインセミナー」が開催された。この中からサンブライト鰍フ講演「健康サポートイタリア産機能性原料「アーティチョーク」と「ベルガモット」の効果」を取り上げる。


シチリア産アーティチョーク葉

サンブライト株式会社はイタリアにある原料メーカー「バイオナップ社」がサプライヤーとなっている機能性成分2つを紹介。

バイオナップ社は1997年に設立されたイタリアのシチリアにある企業で、イタリアや地中海に生息する植物抽出物専門のメーカーである。

高品質な食品原料や化粧品原料、ペットフード原料などの製造を手がけており、世界20カ国以上に製品を供給するグルーバル企業である。ISO9001、13485、ハラル、コーシャ等の認証制度の取得もしている。

まず「アルティリックス(ALTILIX)」という商品について説明。アルティリックスはシチリア産のアーティチョーク葉から抽出した植物エキスで、品質規格としてはクロロゲン酸類が10〜12%、ルオテリン-7-グルコシド類が2〜4%含まれている。

推奨量(摂取目安料)は1日150mg。水溶性の粉末のため、健康食品(ハードカプセル、ソフトカプセル、打錠など)、機能性飲料に展開することができる。

肝機能改善やコレステロール低下作用

アルティリックスに期待される効果は大きく2つ。「肝機能改善効果」と「総コレステロール・LDLコレステロール低減効果」である。

規格成分のクロロゲン酸とその誘導体には、胆汁分泌機能、胆汁排出機能、肝機能保護機能に関する有効性が示唆されている。

ルオテリン-7-グルコシド類にはLDLコレステロール低減の有効性が示唆されており、これらの2つの成分が高濃度に含有されることによりアルティリックスは主に「脂肪肝の改善作用」が期待されている。

アルティリックスの作用機序について、通常、私たちが食物を摂取すると「グルコース」となりさまざまな代謝経路を通り、一部は脂肪酸→中性脂肪へと変化していく。

肝臓以外にも多くの組織で脂肪酸合成がされているが、特に肝臓や脂肪組織、授乳期の乳腺細胞にて活発に合成される。

合成された中性脂肪は脂肪細胞で貯蔵され、過剰に貯蔵されると内臓脂肪や体脂肪となり、生活習慣病などの原因にもなる。

過度な脂肪酸の合成を抑制

アルティリックスは脂肪酸合成酵素複合体という酵素(FAS)の働きを抑制する効果が示唆されており、この機能により過度な脂肪酸の合成を抑制する。

脂肪肝とは肝臓に脂肪が溜まった状態で、内臓脂肪型肥満の人に多い。脂肪肝になる原因としては、肥満、アルコールの多飲料、糖尿病などが主な理由で、メタボリックシンドロームとの関係も指摘されている。

ただ、近年は非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれる状態の人も多い。これはアルコールやウイルス感染によるものではない脂肪肝やそれによって起こる肝臓の病気である。

生活習慣や食習慣を見直すだけでなく、何か他の予防を加えることが必要と考えられている。

脂肪肝指数を減少

NAFLDの予防といってもアルコール性脂肪肝ではないため食習慣の改善だけでは難しいが、アルティリックスが予防手段になるのではないか、と仮説を立て、臨床試験を行なった。

日本人のNAFLDの有病率については、日本人の有病率は9〜30%以上と報告され、全国で推定1000万人以上いるとされている。

男子の場合40〜50代の40%以上が罹患しているとされ、各年代において女性よりも有病率が高くなっている。

また女性の場合60代の罹患率が高い傾向があり、これは加齢や閉経によるエストロゲン減少が大きく影響していると考えられている。

特に男女ともに肥満とNAFLDは密接に関係することもわかっている。

日本人の場合、男性は40代、50代は30%超、女性の場合40代以降の女性の19%、特に60代の28%が肥満者とされるため、この世代は肥満による生活習慣病、さらにNAFLDにも気をつけなければいけない。

アルティリックスを用いた臨床試験については、NAFLDとその病状の高いリスクを持ったメタボリックシンドローム患者(非医薬品摂取患者)男女100名に1日1錠(150mg)、6ヶ月間アルテリックスとプラセボを摂取してもらうランダム二重盲検法試験を行い、脂肪肝の指数、その他BMIやコレステロールなどの変化を測定した。

アルティリックス摂取群においてプラセボと比較して脂肪肝指数の減少が確認できただけでなく、NAFLD予備軍に置いて最も脂肪肝指数を減少させることができた。

そのため、アルティリックス150mg/日の摂取を、医薬品ではなくサプリメントとして予防的に摂取することが最適ではないかという知見が得られた。

他項目においても、AST、ALT、総コレステロール、中性脂肪、LDLコレステロールなど、さまざまな項目において数値の改善が見られた。

イタリア産ベルガモット抽出エキス

もう一つ、ベルガヴィット(BREGAVIT)という製品についても紹介。こちらはイタリア産のベルガモット果汁から抽出した植物エキスで、フラボノイド類が25〜30%含有されている。

推奨量は1日550〜600mgで、LDLコレステロールの低減効果が期待される。水溶性粉末のため、健康食品(ハードカプセル、ソフトカプセル、打錠など)、機能性飲料に展開することができる。

コレステロールは単体で血中を巡ることはなく、リポタンパクに包まれた状態で血中を移動するが、LD Lコレステロールはリボタンパク中のコレステロール割合が高い物質で、過剰になると動脈効果などのリスクになることが知られている。

日本では「脂質異常症」の患者が増加している。脂質異常症とはLDLコレステロールが140mg/dl以上、HDLコレステロールが40mg/dl未満、中性脂肪が150mg/dl以上のいずれかに当てはまる人のこと。

男性では63万9000人以上、女性では156万50000人以上が脂質異常患者だと2017年に厚労省によって報告されている。

心臓血管疾患リスクに関する知見

ベルガヴィットを用いた臨床試験では心臓血管疾患リスクに関する知見が得られた。脂質異常症の男性42名、女性38名(年齢は55歳±13歳、LDLコレステロール値が160〜190mg/dl)を対象に、1日600mgのベルガヴィットを6ヶ月摂取してもらった。

LDL値についての減少だけでなく、動脈硬化の特に危険分子とされるLDL4、LDL5をそれぞれ53%、67%低減させ、LDLの組成内容を改善していることが確認された。

現在ベルガヴィット40というより高濃度の製品による臨床試験が予定されており、摂取量が300mg/日で設計されている。

アーティチョーク由来成分もベルガモット由来成分も、正しい食生活や規則正しい生活習慣、適度な運動習慣に加えた生活習慣病対策に役立つ成分ではないかとまとめた。


Copyright(C)JAFRA. All rights reserved.